大相撲の前頭遠藤(34=追手風)が、地元開催の巡業で大歓声で迎えられた。5日、石川・七尾市で行われた春巡業に参加。出身の穴水町と同じ能登地方での開催とあって、朝稽古で前頭錦木に胸を借りて、ぶつかり稽古を行うと、とりわけ大きな拍手と声援に包まれた。その後、報道陣の取材に応じ「実家のある穴水町から比較的近いし、小さいころからよく来た思い出の場所。昨日(現地入りした4日)、バスで通る道で懐かしい気持ちになった。見慣れた景色、小さいころから聞いていた方言も懐かしいなと感じた」と、故郷への思いの強さをにじませつつ、静かに語った。

七尾市での巡業は、当初は1年前に予定されていた。だが昨年元日の能登半島地震で延期。その後、同2月に同じ石川県出身で現在は大関の大の里、十両輝とともに被災地を慰問していた。「復興というけど、話を聞くとまだまだ。1日も早く復旧して、復興してくれれば。若いころから、いろんなところで応援してもらってありがたいけど、ふるさとの声援は少し特別な思いを感じる」と、思いを込めて話した。

傷ついた故郷を相撲で勇気づけたい思いがあるか問われると「そういう思いで相撲を取っていない。結果的に伝わってくれたら、うれしいことですから」と、あくまでも自身は一生懸命、相撲を取るだけという、入門以来、変わらない思いで取っていると説明した。「ふるさとに来て、ふれあった方から声援をもらって…。もっと上がりたいなという気持ちはある。歓声、声援が原動力、支えになっている。それを励みに、土俵に上がることができていると思う」。ベテランと呼ばれる年齢になっても、第一線で活躍し続ける力をもらえることに感謝。終始、感慨深いような表情を見せるなど、特別な巡業としてとらえている様子だった。