日本相撲協会を退職した元宮城野親方の白鵬翔さん(40=元横綱白鵬)が9日、都内のホテルで会見し、退職の理由と今後の夢を語った。「世界相撲グランドスラム」の構想を掲げ、アマチュアから相撲を盛り上げていく考えを示した。退職にあたり、協会との「ズレ」を指摘しつつも、今後の連携を見据えて、きれいな形で区切りを付けた。

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史上最多45度の優勝を誇る大横綱が、なぜ協会を去るのか。白鵬さんが自らの口で初めて説明した。

弟子の暴力問題がきっかけで、宮城野部屋が閉鎖となって4月で1年。「3月中に執行部で(再興に向けた)話し合いがあった。その報告を聞かされた時に、(再興は)いつっていうものが見いだされず、また延ばすということが退職という形になった」と説明した。

3月中に心は退職へ動いたという。協会から浅香山部屋預かりとなることと、今年末に再開する案が示されたが、聞いたのは「夏場所後半でした」とし「話はありましたが、確実な話ではなかった」とも明かした。

もともと弟子たちの多くは、元関脇旭天鵬の大島部屋への転籍を望んでいたが、同じモンゴル出身という理由で却下された。元関脇安美錦の安治川部屋は「新米親方はダメ」とされた。しかし、伊勢ケ浜部屋はモンゴル出身の後輩、照ノ富士親方(元横綱)が継承する。白鵬さんは「去年の話と今年の話でずいぶんズレがあるなと。その判断であります」とした。

退職への流れは説明しつつ、協会と「決別」する姿勢は示さなかった。「照ノ富士の下が嫌だというのはまったくありません」と確執を否定。会見では師匠と同席し、ハグもした。事態を引き起こした責任についてわび、「最終的には自分自身で退職を決断いたしました」とも言った。協会の発表文書で「弟子の指導に身が入っていないようだ」と指摘されたことには「3月からそういった言葉だったり行動に、身が入ってないっていうのがあったかもしれない」と謙虚に言った。誤解されかねない表現にも不満は示さなかった。

弟子を置き去りにすることは、無責任ではないか-。この見方には、自ら切り出した。「親方たち、協会とも密に連絡を取り、引き続き外の立場から弟子たちを見守り、応援していく所存です」とフォローした。

白鵬さんは2010年から子供のための国際親善大会「白鵬杯」を主催してきた。今後は新会社の代表に就き「世界相撲グランドスラム」構想を推進する。裾野を広げることが、将来の新弟子につながる可能性がある。弟子への思いも含め、将来のためにも、協会への「恨み節」は封印した大人の会見。相撲愛を貫きつつ、次のステージへ踏み出した。【佐々木一郎】