大相撲で横綱同士による異例の三番稽古が行われた。名古屋場所(13日初日、IGアリーナ)に向けて7日、愛知・扶桑町の境川部屋に、横綱豊昇龍(26=立浪)と、新横綱大の里(25=二所ノ関)がそろって出稽古。同じく出稽古に来ていた関脇霧島、小結高安、境川部屋の前頭平戸海を相手に、豊昇龍と大の里が、数番ずつ交互に相撲を取った後、仕上げとして4番の三番稽古が行われ、豊昇龍の3勝1敗だった。
稽古総見を除き、異なる一門の横綱同士が相撲を取る稽古を行うのは極めて珍しいケース。他の関取衆との申し合いと合わせても、豊昇龍は計11番で10勝1敗と好調。高安と2番、平戸海とは5番取って全勝だった。対する大の里は霧島、平戸海にそれぞれ3勝2敗。計14番で7勝7敗ににとどまり、明暗が分かれた格好となった。
稽古後のコメントも対照的だった。豊昇龍は「いい感じに稽古ができた。(番数が)少なくても、いい相撲を取ろうと思っていた」と、胸を張って話した。4日に伊勢ケ浜部屋に出稽古した際に、左足親指の辺りを痛めており、この日も患部にテーピングを施して稽古。5、6日は相撲を取る稽古を行わず「もう、だいぶ良くなった」と、回復したことを強調。中2日で臨んでも好調を持続した形で「あとは金曜日(11日)まで、しっかり、いい稽古をして、体のことを大事にして。暑いから体に気を付けないと」と、気持ちよさそうに汗をぬぐった。
一方の大の里は開口一番「まだまだですね」と、うつむきながら静かに語った。さらに「内容は全然ですね」と続けた。先場所、千秋楽に敗れて全勝優勝を逃し、14勝1敗とさせられた豊昇龍には、1度の不戦勝を除き、過去1勝6敗。苦手克服を狙ったが、相手の投げをこらえて寄り切った1勝を挙げるのにとどまった。低い立ち合いから頭をつけられ、右を差す得意の形に持ち込めない苦しい相撲が続いた。それでも「プラスに考えたら、昨日、今日で追い込むことができた。またここから、しっかり集中していきたい」と話し、最後は前を向いて、普段通りにハキハキと話していた。
もともと大の里が、前日6日に続いて境川部屋に出稽古する計画があった。その情報も入手していた豊昇龍が、これまでも巡業などで指導を受けてきた巡業部長の境川親方(元小結両国)に助言を求める意味合いもあり、境川部屋に来て、両横綱が顔を合わせた。ただ、部屋で顔を合わせてすぐ、境川親方に「三番やるのか」と、たずねられた際には、互いに1度はやらない意思を示していた。
それが年下の大の里から「どうしますか?」と、たずねられた豊昇龍が「やろうか」と答え、実現した三番稽古だった。豊昇龍は横綱3場所目で、大の里は1場所目。ともに横綱として初優勝を狙う、優勝候補の2人が、場所前から火花を散らした。

