大関経験者で西幕下筆頭の朝乃山(31=高砂)が、今場所最後の取組を3連勝で締め、来場所の十両返り咲きを確実とした。西十両13枚目で、取組前にすでに負け越していた大奄美との“入れ替え戦”を、苦しみながらも制した。立ち合いでスパッと右を差し、寄り立てる中で右下手は深く結び目を引き、1枚まわしながら左上手も引いた。相手の投げに体を泳がされながらも、こらえて体を寄せて寄り切り。5勝2敗で今場所を終え、十両で下に1枚しかない大奄美を5勝9敗、来場所の幕下転落は避けられない星とし、自らの手で再十両切符を勝ち取った格好だ。

取組後の朝乃山は開口一番「まだ分からない。5番勝っても上がれないこともある。あとは(番付編成会議と十両昇進発表が行われる今月30日の)水曜日を待つだけ」と、慎重に話した。ただ、1年前の昨年名古屋場所で左膝の大けがを負ってから、長期離脱を経て復帰3場所目。「けがなく終えられてよかった」と、辛勝も相まってホッとした表情で話した。

弟弟子で東幕下3枚目の朝白龍が、前日13日目に7戦全勝で幕下優勝を決め、新十両昇進を確実とした。さらに直前の取組では、同じく弟弟子で十両土俵に臨んだ東幕下2枚目の石崎が6勝1敗とし、新十両昇進が濃厚。朝乃山も昇進を確実としたことで、高砂部屋から来場所十両の「トリプル昇進」の可能性が、極めて高くなった。同部屋から3人同時に十両昇進となれば、79年秋場所で琴の龍と琴千歳が新十両、琴立山が再十両に昇進した佐渡ケ嶽部屋以来、46年ぶりとなる。

朝乃山は「弟弟子の石崎に、力水をつけてもらってうれしかった。自分も入れ替え戦。こういう時に、打ち勝たないといけないと思って臨んだ。大関で部屋頭だった時は、部屋全体を見渡せていなかった。下に落ちて、いろいろと、見えてきたものがある。高砂部屋を盛り上げていきたい」と、かみしめるように話した。入門から大関まで駆け上がった時、さらには6場所の謹慎休場明けも、ただガムシャラに自分を信じて番付を駆け上がった。30代となり、3度目の三段目からの再起は、弟弟子たちに後押しされて、再び関取の座に就くことになりそうだ。

「けがする前よりも、お客さんの拍手、声援が大きくなったと感じる。本当にありがたいこと。おこがましいですけど、少しでも、そういった応援してくださる方に、勇気や元気を届けられるような相撲を取っていきたい。もう1度『大銀杏(おおいちょう)が似合うね』と言ってもらえるようになりたい」。部屋の内外から、力をもらえたと実感した3度目の関取への道。来場所、精神的に一回り成長した姿を、何よりも相撲勘を取り戻し、完全復活した姿を見せる日へ。朝乃山は、何度でも復活する。【高田文太】

【大相撲名古屋場所全取組結果】はこちら>>