いよいよ17日に第9回AKB48選抜総選挙が行われます。ただ、今年の当初は、「指原莉乃が史上初の3連覇を果たすかどうか」ぐらいで、例年に比べると、話題が乏しい状況でした。ところが、5月31日の速報が発表されると、第1位は、何と全く無名の2年目のNGT48荻野由佳。発表された瞬間から「一体誰?」と話題になりました。

 さて、本番では、大本命の指原がきっちり差し切って勝利するのか? ダークホース荻野の大逃げが成功するのか? はたまた、名古屋の松井珠理奈か? 3年ぶりの渡辺麻友か? そんな状況なわけです。

 さて、我々日刊スポーツのAKB担当記者たちは、ここ10日間ぐらいは、「荻野由佳の人気の秘密」を、現場の荻野推しファンにたくさん取材して、調査しました。

 そこで分かった、人気の要因は、大きく分けると2つ。1つは、AKBならではの、「他人が共感できる苦労人」ということ。もう1つは、「超絶神対応」にありました。

 苦労人の半生については、6月1日付の新聞記事にもしましたが、AKBのオーディションに何度も落ちて、仮研究生として受かった時も1年間の練習生扱いの末に、やはり合格ならず。バイトAKBという、文字どおりに「時給制のアルバイトメンバー」として活動したのちに、AKB48グループドラフト会議に応募して、新潟に新たに発足するNGT48に指名してもらえたという、長い長い下積みがありました。

 韓国のK-POPアイドルなどは、常人ではいないような美貌とスタイルの美女たちが、デビュー時から完成度の高いルックスとパフォーマンスで、いわゆる「スター性」を売りに、人気を獲得していきます。

 ですが、AKBは「普通の少女の成長過程」を見守って、応援していく「育成型アイドル」です。荻野のような「普通の人の苦労してアイドルになっていく生き様」こそが、ファンの共感を誘い、支持を集めていくわけです。エリートよりも雑草。まさに、最もAKBらしいアイドルというわけなのです。

 そして、もう1つの「超絶神対応」とは? 荻野の握手会やツーショット写真会を見に行くと一目瞭然です。たとえば、ファンとテーブルを挟んで、ツーショットを撮る「写真会」。メンバーもファンも、いすに着席しておくのがルールなのですが、荻野はルール違反ギリギリ? いすから腰を浮かせて、机に身を乗り出して、ファンに近づいて写真を撮っていました。

 決して、色仕掛けをしているわけではないのです。荻野ファンに言わせると「むしろ色気は全くゼロ。でも、とにかく私たちを楽しませてくれるんです」。どのメンバーよりも大声と大きなリアクションで、1人1人のファンを出迎えていました。恋人とか女性というよりも、友達感覚な接し方ですが、どのファンも心から楽しそうに笑って会話していました。

 荻野のリアクションは大きいだけではなくて、どんなことをするかも予測がつきません。例えるなら、びっくり箱を開けに行く、おみくじを引きに行く感覚でしょうか? ディズニーランドのアトラクションのような握手会でした。

 ファンは、決して色気や疑似恋愛だけを求めて、アイドルと握手しに来ているわけではないと、まざまざと見せつけられました。

 さて、一般的な荻野の順位予想は「速報こそ1位だったが、最終結果は10位に入るか入らないかぐらい」である。ただ、現場のファンの熱さ、数、人気の根拠を知った私の予想は、「ひょっとしたらベスト3入りもありえる」です。

 どうやら、山は動いているようです。

 アッと驚く結果を期待して、本番に備えようと思います。