29日に投票が始まった第10回AKB48世界選抜総選挙(6月16日、ナゴヤドームで開票)の速報結果が30日に発表され、NGT48荻野由佳(19)が、昨年に続いて2年連続で1位に立った。開催地の愛知・ナゴヤドームが地元で、本命視されているSKE48松井珠理奈(21)は2位につけた。対抗馬のHKT48宮脇咲良(20)は3位だった。

 もはや実力は本物だ。今年も総選挙の戦いでロケットスタートを切ったのは、昨年の速報で一躍シンデレラガールとなっていた荻野だった。新潟市内のNGT48劇場で仲間とともに発表を聞いていた荻野は、うつむいて泣いていた。一足先に2位で松井が呼ばれると、ステージ上でへたり込んで正座の姿勢になった。

 5万9531票-。

 昨年に、自らで速報史上最多記録を樹立した5万5061票を4470票も上回る、ぶっちぎりの1位。「ヤバイよ~、もうNGTの自慢だわ」と仲間にたたえられる中、左手で高鳴る鼓動を必死に抑えながら、華奢(きゃしゃ)な体を立ち上がらせた。顔はぼうぜんとしたままでも「まずは1日間でNGT(のメンバー)に投票してくださった皆さん、本当にありがとうございます」と、グループを代表して感謝を述べた。私的なことだけでは取り乱さない。この1年で自覚が芽生えたあかしだった。

 節目の10回目を迎えた今年は、初めて海外48グループの外国人メンバーにも立候補資格が与えられて、史上最多の339人が立候補した。昨年まで3連覇をしたHKT48指原莉乃(25)や、AKB48/NGT48柏木由紀(26)、NMB48山本彩(24)は不出馬。第1回以来、初めて1位の経験者が不在となる。

 そんな混戦模様の中で、デビュー10周年での地元開催に燃える松井らを抑えて、残り半月の選挙戦の主導権を握った。

 荻野は、最後に気持ちを落ち着かせると「私も本番はどうなるか分からなくて恐れ多いんですけれど、名古屋が(SKE48の)ホームとかは関係なしに、1番を目指していきたいと思います。応援をよろしくお願いします」と、生涯で初めての天下取りを宣言した。

 同じ速報1位でも、自他共に驚いただけで終わった昨年とは違う。本腰で2年越しのシンデレラストーリーを完結しにかかる。