NGT48西村菜那子(21)を取材した。彼女のキャッチフレーズは、「駅伝に詳しすぎるアイドル」。幼いころ見た箱根駅伝、東洋大の「山の神」こと柏原竜二が5区で8人ごぼう抜きする光景を見て、一気に駅伝ファンになったという。

西村の知識は、実に豊富だ。各チームの戦力分析はもちろん、キャプテン選出の方針まで熟知している。どのレースでどのメンバーが走り、どの選手を温存したか、1万メートルの持ちタイムまで、頭にインプットされている。

大学の記録会にも足しげく通うという。5区のコースの沿道にあるパン店が、名物のシチューパンを無料で配っているなど、豆知識もバッチリだ。その博識ぶりは、箱根駅伝にとどまらない。今月は30日号砲の「富士山女子駅伝」の番組の公式応援アイドルに就任。来年も元日のニューイヤー駅伝の観戦を検討中という。

試しに拓大のキャプテン、エチオピア人のワークナー・デレセ選手について聞いてみた。駅伝担当ではない記者も、事前に「仲間に優しく接する人格者」という素性だけは知っていた。西村はこう答えた。

「デレセ選手はとても優しい性格で、日本人以上に日本人みたいと言われるんです。彼の優しさを表すエピソードがあるんですけど、今年の2区で、山梨学院大のニャイロ選手とぶつかった際、手を合わせて『ごめん』って謝ったんですよ。レースだから、相手と競り合ってぶつかることはよくあるんですけど、わざわざ謝るなんて。それがたまたまテレビで流れてですね…」

まさにネタの宝庫。小ネタ解説でおなじみの増田明美さんのアイドル版と言ったところか。

スポーツ紙で芸能記者をしていると、大きなスポーツイベントの際、その競技に造詣が深いタレントを探したり、取材をすることが多い。記者はアイドル取材が担当なので、取材対象の多くはアイドルになる。かつては、その多くがにわか知識を並べただけで、がっかりすることも多かったが、西村の知識は本物。駅伝シーズンの到来とともに、西村の存在がさらにクローズアップされることを願う。