映画「硫黄島からの手紙」(06年)や「ラストサムライ」(03年)などで知られるハリウッドを拠点に活躍する俳優尾崎英二郎が、DCコミックが原作の人気ドラマ「レジェンド・オブ・トゥモロー」シーズン4の第5話にゲスト出演し、日本が世界に誇る映画「ゴジラ」を生んだ巨匠本多猪四郎を演じました。2016年から放送がスタートした「レジェンド・オブ・トゥモロー」は、DCコミックの最強のヒーローやヴィランたちが集結し、異色のチームを結成して時空を超えてユニバース史上最強の敵に挑み、時間軸の異変から世界を救う人気ドラマ。映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズでビフ役を演じたトーマス・F・ウィルソンらがレギュラー陣に加わったことでも話題のシーズン4では歴史上の実在した偉人や世界的な伝説、逸話として知られるモンスターたちを中心にストーリーが展開しています。

19日に放送された「Tagumo Attacks!!!(タグモ・アタックス)」と題された第5話は、日本を舞台にしたエピソードで、日本の怪獣が題材。物語の中心となる本多監督役に抜てきされた尾崎は、「アメリカの人気コミックを原作にしたドラマで日本を舞台に日本人のキャラクターを中心にとらえて話が描かれるということはめったにない機会なので、この役を獲得した時にはとても光栄でした」とコメント。スーパーヒーロー物語なので、エピソード自体は架空のストーリーながらも日本映画の黄金時代に活躍した監督や怪獣の世界が題材に選ばれたことについて、「伝統に敬意を払いつつも、作品が持つ独自のひねりを加えた展開が見ものです。しかし、歴史をベースに創作されている以上、泥を塗ることがないよう、一生懸命に演じたつもりです。日米両国にとって心の琴線に触れる、忘れてはならない歴史を描くことに挑んだ製作陣には心から感謝しています」と語り、初のDC作品で本多監督役に抜てきされた喜びをかみしめています。また、本エピソードで共同脚本も手掛けた製作総指揮を務めるハーフのケト・シミズ氏は、父と一緒に幼い頃からゴジラ映画を見て育ったといい、「本多監督の人生については深くリサーチし、第2次世界大戦の前線で直面した時の記憶が後の映画作品の破壊的な怪獣描写に生かされていることに着目しました」とコメント。この役には日本人俳優を起用すると決めていたといい、尾崎について「演出面において創造性と熱意をもってこの役に取り組み、本多監督が戦後に目にした広島の焼け跡の惨状について触れる場面では、傷ついた心を美しく表現しました」と評価しています。

「レジェンド・オブ・トゥモロー」シーズン4は、日本では1週間遅れでデジタルセル先行配信されているので、「怪獣映画の精神を現代に呼び覚ますことに全力を尽くした」とシミズ氏が語る本エピソードもオンラインで見ることができます。また、尾崎は海軍提督イノクチを演じるAmazonプライム・ビデオが配信するドラマ「高い城の男」のシーズン4への続投も決定したばかり。ヒューゴー賞を受賞したフィリップ・K・ディックの小説を基にした第2次世界大戦で連合国が敗れて日本とドイツが勝利してアメリカを占領した世界を描く本作の新シリーズは、現在撮影中で来年にも配信される見込みです。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)

「レジェンド・オブ・トゥモロー」シーズン4のビジュアル
「レジェンド・オブ・トゥモロー」シーズン4のビジュアル