米大統領就任式からもうすぐ1週間になりますが、多くの人がバイデン新政権誕生の余韻に浸りつつ新たな時代の幕開けを祝福しています。

これまで度々、トランプ前大統領を公然と批判してきたハリウッドセレブたちも、トランプ政権が掲げた米国第一主義のもとで深まった分断から、ようやく癒しと団結に向けた未来に希望を抱くことができると喜んでおり、ソーシャルメディアでは祝福と歓喜の声があがっています。

選挙戦でバイデン新大統領を支持してきたアリアナ・グランデは、就任式で宣誓するハリス新副大統領や、新ファーストレディのジル夫人とハグをするバイデン大統領、オバマ元大統領夫妻らの写真と共に「ああ、幸せな日」とコメントを添えて投稿。また、リース・ウィザースプーンも、「なんと素晴らしい瞬間を目撃したのでしょう」と投稿し、再びUnited(統合)したアメリカ合衆国になることへの希望を述べています。

マライア・キャリーは、自身の楽曲のタイトルを引用し、「GTFO(Get The Fuck Out=失せろ)」とホワイトハウスを去るトランプ大統領に向けてツイート。その後は聖書の一文を引用し、「夜は夜もすがら泣き悲しんでも、朝と共に喜びが来る」とツイートし、アメリカと全世界のために喜びと祈りをと書き込んでいます。

シェールも、「この4年間、息苦しかったことに気づいた。今は、バイデン大統領になって、歌を歌っているような気分よ」とツイートし、トランプ政権の終わりを喜んでいます。

一方、バイデン大統領の当選が確定した昨年11月には、2008年のオバマ元大統領を「新たなる希望」、2016年のトランプ前大統領を「帝国の逆襲」、そして2020年のバイデン新大統領を「ジェダイの帰還」と、「スター・ウォーズ」シリーズになぞってツイートしてファンを楽しませたマーク・ハミルは、今回は「モノクロからカラーに変わったように感じる」とコメント。

そして、マーク・ラファロは、「私たちは大丈夫だ。壊れたものは新しくなり、傷ついたらそこから思いやりと人柄が生まれる。分断からは明快さが生まれ、絶望からは知恵が生まれ、喪失からはコミュニティーが生まれる」と明るい未来への希望に言及しています。

そんなバイデン大統領の就任式にはレディー・ガガやジェニファー・ロペスが出演して華を添えましたが、SNSを席巻して主役の座を奪ったのは、意外にも民主党の候補者選びでバイデン大統領と最後まで争ったバーニー・サンダース上院議員でした。

マーク・ハミルがシェアしたツイート
マーク・ハミルがシェアしたツイート

華やかな就任式において防寒重視の分厚いジャケットと毛糸で編んだ分厚いミトンにサージカルマスクといういでたちでソーシャルディスタンスを保って一人ぽつんと座る姿は人々をくぎ付けにし、その姿を加工した写真がSNS上でバズっています。「スター・ウォーズ」のワンシーンにサンダース氏が登場するものや「フォレスト・ガンプ/一期一会」(1994年)でトム・ハンクス演じる主人公と一緒にベンチに座るものから「ジョーカー」(19年)や「キューティ・ブロンド」、「セックス・アンド・ザ・シティ」まで様々な映画やドラマ、名作アルバムのジャケットなどを加工した画像がSNS上に溢れ、人々を楽しませています。

面白いことにそれらの画像はどれもサンダース氏が自然とその世界観に溶け込んでおり、ハミルもSNSで「スター・ウォーズ」版の加工画像をシェアして「アメージング」と絶賛するなどセレブたちもハマっているようです。サンダース氏が着用していた地元バージニア州の企業が製造するジャケットには注文が殺到し、地元の小学校の教師が手作りしてプレゼントしたミトンも大きな話題となる中、意図せずスポットライトを浴びたサンダース氏は、さっそくこの椅子に座る自身の写真をプリントしたトレーナーを公式サイトで販売。収益は全額コロナ禍で苦しむ人々のためのチャリティー団体に寄付すると発表し、あっと言う間に完売する大反響で、改めてサンダース氏の人柄と人気の高さがうかがえる出来事となりました。【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)