キアヌ・リーブス主演の人気アクション映画「ジョン・ウィック」シリーズ第4弾に、イギリスを拠点に活躍する日本人アーティストのリナ・サワヤマが出演することが決まりました。

新潟県出身のサワヤマは4歳の時に父親の仕事の都合でロンドンに移住し、その後は日本には帰国せずケンブリッジ大学に進学。卒業後から本格的にアーティスト活動を始め、ファッションモデルとして世界中から注目される存在となり、歌手としてもエルトン・ジョンとコラボするなど目覚ましい活躍を見せています。そんなサワヤマのハリウッドデビュー作となる今作で演じる役柄は明らかになっていませんが、日本でもロケを行うことが伝えられており、日本を舞台にしたシーンも登場すると言われています。

リナ・サワヤマ(19年11月撮影)
リナ・サワヤマ(19年11月撮影)

「ジョン・ウィック」シリーズでは2019年に公開された第3作「ジョン・ウィック:パラベラム」でも、マーク・ダカスコス演じるすし職人の謎の殺し屋ゼロが登場しています。ゼロは片言の日本語を操る怪しげなキャラクターとして劇中でもひときわ異彩を放っていましたが、前作に続いて今作でも印象的な日本人キャラクターが登場することになるかもしれません。

ハリウッドではこれまでも、渡辺謙や真田広之、菊地凛子ら多くの日本人俳優が活躍しており、今年に入ってからも「ゴジラvsコング」で小栗旬がハリウッドデビューを果たしていますが、日本を舞台にした作品や日本人キャラクターが登場する映画もたくさん作られています。中にはダカスコスのように日本人以外の俳優が演じる摩訶不思議な世界も存在していますが、それも含めてこれまでハリウッドで描かれた印象に残る日本人キャラクターを紹介します。

◆「キル・ビル」(2003年)

クエンティン・タランティーノ監督がメガホンを取ったユマ・サーマン主演の「キル・ビル」には、服部半蔵役の千葉真一とGOGO夕張役の栗山千明が出演しています。ミニスカートの制服にルーズソックスという90年代の女子高生を代表するスタイルのGOGO夕張は、鉄球を振り回す殺し屋という設定で強烈な印象を放っています。また、「ヤッチマイナァ!」と叫ぶ片言の日本語の台詞が印象的な中国系アメリカ人と日本人の間に生まれたヤクザの女親分役を演じているのは、ハリウッドを代表するアジア系女優ルーシー・リュー。着物姿で日本刀を振り回すシーンなどもあり、随所にタランティーノ監督の強い日本愛を感じる作品となっています。

03年10月、映画「キル・ビル」の会見を行うクエンティン・タランティーノ監督(左から4人目)と千葉真一(左端)ら出演者
03年10月、映画「キル・ビル」の会見を行うクエンティン・タランティーノ監督(左から4人目)と千葉真一(左端)ら出演者

◆「SAYURI」(2005年)

1997年にアメリカで出版されたアーサー・ゴールデン作の小説「さゆり」を映画化した「SAYURI」は、第2次世界大戦前後の京都を舞台にした芸者の物語。主演のさゆりを演じるのは中国人女優チャン・ツィイーで、日本からは唯一、工藤夕貴が芸者役に抜擢されているもののその他のメインの役どころはコン・リーやミシェル・ヨーら非日本人の女優が独占したことでも話題になりました。着物の着方や所作、あまりに前衛的な日本舞踊など、日本描写に対する批判的な意見があった作品としても知られています。さゆりが思いを寄せる会長を演じるのは渡辺謙で、他にも置き屋の女将役で桃井かおりも出演しています。

◆「プレデターズ」(2010年)

SFアクション「プレデター」シリーズ第3弾「プレデターズ」には、日系人俳優ルイ・オザワが演じる日本人ヤクザの殺し屋ハンゾーが登場しています。刀を武器にプレデターと1対1で死闘を繰り広げるシーンは見もので、全身に入れ墨を施した上半身裸での決闘シーンはアメリカ人のファンをも虜にしています。

◆「47RONIN」(2013年)

「47RONIN」は忠臣蔵をモチーフとしたファンタジー・アドベンチャーで、四十七士にキアヌ・リーブス演じる架空のイギリス人と日本人のハーフ、カイが参加するという斬新なストーリーです。日本人にとっては、武士たちの着物や甲冑など違和感や突っ込みどころが満載の内容ですが、国籍不明の東洋の国を舞台にした「ハリウッド版忠臣蔵」と考えるとあくまで架空のファンタジー映画なのだと納得できます。日本からは大石内蔵助役の真田広之や吉良上野介役の浅野忠信のほか柴咲コウや赤西仁ら豪華俳優陣が出演しています。

13年11月、映画「47RONIN」の記者会見で笑顔を見せる、左から柴咲コウ、真田広之、キアヌ・リーブス
13年11月、映画「47RONIN」の記者会見で笑顔を見せる、左から柴咲コウ、真田広之、キアヌ・リーブス

◆「ウルヴァリン:SAMURAI」(2013年)

マーベルコミックのスーパーヒーローであり、X-MENの一員でもあるウルヴァリンをヒュー・ジャックマンが演じる「X-MEN」のスピンオフシリーズ第2弾「ウルヴァリン:SAMURAI」は、日本が舞台になっています。長崎に原爆が落ちた1945年にウルヴァリンが青年将校の矢志田を助けたことから物語は始まり、後に大物実業家となった彼から自らの死期を前にお礼がしたいと日本に呼び寄せられるストーリーです。ハリウッドデビュー作となったモデルのTAOが演じる矢志田の孫娘マリコと恋に落ちたウルヴァリンの前に立ちはだかるのは忍者軍団。その忍者軍団を率いるマリコの父で矢志田の息子を演じているのは真田広之で、モデルの福島リラや日本出身のイタリアの俳優ハル・ヤマノウチら日本人も多数出演しています。矢志田の息子演じる真田とウルヴァリンの刀を使った死闘や忍者軍団からの弓矢攻撃など見どころも満載です。【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)