主要キャスト全員アジア人のハリウッド映画としては異例の、米国で3週連続興収1位を記録した作品。

主人公のレイチェル(コンスタンス・ウー)は、ルーツは中国だが生まれも育ちもニューヨークという設定。大学で経済学を教えている。恋人ニック(ヘンリー・ゴールディング)が故郷シンガポールで友人の結婚式に出席するついでに、レイチェルを家族に紹介したいと切り出す。

行きの飛行機がファーストクラスで驚くレイチェルだが、これはほんの序章。シンガポールに着くと、ニック一家が不動産王で、途方もない金持ちだと分かる。2人の結婚を阻みたい母、元カノ、興味津々で観察する親戚、心からの親友…さまざまな人が絡み合って(もちろん、全員リッチ)物語が動きだす。

上流階級のバカ騒ぎと、好いたほれたのありがちな物語が気持ちよく見られるのは、レイチェルとニックの2人が好感度抜群でスクリーンに映えているからだ。誠実で大胆な2人を、最初から好きな気持ちで見られる。ニックの母を演じたミシェル・ヨーがおそろしくかっこいい。物語のキーになる特大エメラルドの指輪は彼女の私物だそう。いろいろすごいな。【小林千穂】

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