せつない。でも、あたたかい。見終えたあと、二つの感情が胸に残った。大ヒットした「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」(23年)の続編にして完結編。今作が描くのは時代を超えた恋のその先にある、喪失と再生の物語だ。
特攻隊員・彰(水上恒司)との忘れられない別れから7年。現代に戻り、彰の夢だった高校教師となった百合(福原遥)は心だけは1945年の「あの丘」に取り残されたまま。戦争は命だけでなく、残された人の時間までも奪っていく。そんな百合の前に、彰の面影を感じさせる涼(細田佳央太)が現れる。
前作のタイムスリップには首をかしげたが、今作を見てふに落ちた。戦争を知らない生徒たちへの「特別授業」。彰を失った悲しみ、特攻前夜の空気、好きな人と明日を約束できない時代の理不尽さを、百合は自分自身の記憶として語る。あの不可思議な体験は7年後の授業につながっていた。福原は百合の感情の揺れを、大きな瞳で物語る。
年老いた千代(倍賞千恵子)が百合に託すのは彰が残した本。彰の思いが時を越えて届いたとき、止まっていた時間が動き出す。失った人を忘れず、それでも明日へ歩き出す。せつなさの奥に、確かなあたたかさが残る。【松浦隆司】
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