お好み焼き、マクドナルド、フレンチも好きな場所に届けます-。米配車サービス大手ウーバーテクノロジーズの日本法人が先日、飲食店の料理を運ぶサービス「ウーバーイーツ」を大阪市中心部でスタートすることを発表しました。東京、横浜に続く国内3カ所目となる大阪でのサービスは、すでに4月下旬からスタート。日本一の食い倒れの街・大阪で「新サービス」は浸透するのでしょうか? 関西上陸の背景に迫りました。

 「お好み焼き5枚を○○公園までお願いします」。約1時間後、仲間と宴会中の公園にホカホカのお好み焼きが届く。このサービスを利用すれば、粉モンだけではなく、イタリアンもメキシコ料理も、なんだったらの豚まんでも届けてくれます。

 サービスはいたってシンプル。スマートフォンの専用アプリから店や料理を選んで注文すると、自宅でも、会社でも、友人宅でも、公園でも配送エリアであればどこへでも料理が届きます。通常の出前サービスと異なるのは、審査を受け、事前登録した一般の人が配達することです。

 配達料は一律で税込み380円。最低注文額はなく、例えばマクドナルドのハンバーガー1個でもOK。まあ、お金にシビアな大阪人は配達料を考えて1個だけの注文はないでしょうけど。代金はアプリに登録するクレジットカード支払い。せっかちな大阪人ですから、最も気になるのは配達にかかる時間でしょう。

 そこはスマホの全地球測位システム(GPS)機能を使って注文者と配達員の位置を特定できるため、おおよその到着時刻が分かる仕組みです。配達時間の情報が「共有」でき、しかもGPS機能で公園など住所を伝えにくい場所にも配達できるそう。

 大阪ではお好み焼き店、和食、中華、イタリアン、フレンチ、マクドナルドなどのチェーン店まで250店以上が登録しています。最大のウリはこれまで自前で配達員を抱えることができなかった飲食店から料理を注文できることです。

 米ハワイの超人気カフェの海外1号店で大阪・本町にある「MORNING GLASS COFFEE+CAFE」の辻元優貴店長は「店側は大きな負担はなく、ほとんど変わらないオペレーションで導入できた」。飲食店側は追加投資なしでお客を増やすメリットがあります。

 もう1つのポイントは配達パートナーと言われる料理を運ぶ人の数です。日本法人の担当者は「大阪では当初、400人以上を確保しており、配達パートナーの方はそれぞれが空いた時間を有効活用していただけます」と説明。料理はミニバイクや自転車などで届けるシステム。

 このサービスは配達員を複数の飲食店で共有する形になり、配達員側も空いた時間に働くことができます。飲食店側は配達員を「シェア」、配達員側は自分のスケジュールに合わせて隙間の時間を有効に使うことができます。

 モノや時間を共有する「シェアリング・エコノミー」。このビジネスモデルは他にも旅行者に住宅の空き部屋を貸す「民泊」、自動車を共同利用する「カーシェア」、空き時間を使った家事・育児の代行など、さまざまなサービスが登場しています。

 ウーバーイーツのアジア太平洋地域統括部長、ラージ・ベリー氏は「幅広い選択肢があり、料理の質も高い。予想以上に日本で受け入れられた」と語りました。15年にカナダで始まったウーバーイーツは日本国内では16年9月に東京23区で導入され、17年11月には対象地域を横浜市の一部に広げました。現在、登録する飲食店は2000店以上、配達パートナーは1万人以上。世界29カ国、100以上の都市でサービスを展開しています。

 ベリー氏は「大阪で終わりではない。今後は関西全域への拡大を目指す」と年内には京都市と神戸市にも進出する計画を明かしました。大阪人は食べ物とサービスにはけっこうシビアですが、ホンモノにはお金を惜しみません。このサービス、意外とウケるかも。

【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)