歌舞伎俳優坂東巳之助(25)が、2月に死去した父坂東三津五郎さん(享年59)の後を継ぎ、テレビ朝日系「世界の街道をゆく」(月~金曜午後8時54分)のナレーターを務めることが27日、分かった。このほど都内で初収録が行われた。

 三津五郎さんは番組開始の09年から今年2月まで5年5カ月、1300回以上、ナレーションを行った。巳之助は「収録が近づくと自宅の居間で原稿をチェックしていた父を思い出す。最初のころ、タイトルコール1つにしても試行錯誤していました。何だかんだ言って息子なので、オンエアの声を聞くと分かりました」。番組の話を具体的にしたことはなかったが、父の格闘はおのずと伝わってきたという。

 「決まった以上、覚悟を決めてやりたい。父が慣れてきたころのスムーズなナレーションには追いつきませんから、父の姿を思い浮かべながら、僕も試行錯誤して務めたい」。家族に報告すると「良かったね」と言われた。父なら何と言っただろうか。「憎まれ口をたたかれるかも。『大変だよ』なんて」と笑う。ナレーションは初挑戦。「何でも舞台に通じていくはず」と意欲的だ。

 初収録では三津五郎さんも収録していたブースでスタンバイした。タイトルコールが響くと、スタッフの1人は「伸びやかで、タイトルコールだけで世界観ができている」と感心した。来月1日から登場する。【小林千穂】