女優の南野百合(25)が、映画初出演&主演作「呪区」(千葉誠治監督、10月16日公開)で、上映時間71分中、約6分にわたり全裸でのアクションを披露した。水着のシーンやグラビア撮影も未経験の中、一糸まとわぬ姿で全身で演じ切った。「服を着たら、即死。」と銘打った同作は、ホラー、SFなどのジャンル映画に特化した世界3大ファンタスティック映画祭の1つ、シッチェス・カタロニア映画祭(スペインで10月8日開幕)ミッドナイト・エクストレム部門での世界初上映も決定。文字どおり“裸一貫”で世界デビューを果たす。
南野が日刊スポーツの取材に応じ、撮影の裏側や感じていた思い、17年2月から4年、芸能事務所に入って修業した韓国への思いを語った。【村上幸将】
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「呪区」は、米国に留学して映画製作を学び、15年「忍者狩り」が同映画祭のファンタスティック・セレクションで邦画として初めて上映されるなど、海外を意識した映画作りを続ける千葉誠治監督が脚本、編集、プロデューサーまで務めた。南野が演じる紬紀は、過去にトラウマを抱える中、高校時代の陸上部メンバーとキャンプに行くが、確執があり険悪ムードが漂う。キャンプ場に到着した紬紀は、数百年前に刑場だった呪われた土地で、全裸で処刑された村人が夜中に悪霊となり訪れた人間を襲うこと、脱衣すれば悪霊から見えなくなることを発見し、迫り来る悪霊と戦う。
全裸でのアクションシーンの撮影は、ちょうど1年前の25年9月末に山梨県の山中で一晩かけて行った。南野は撮影前に悪霊との戦闘シーンで使う、やりやアクションの専門家について練習した。並行して、撮影までの2カ月間、ブロッコリーとキュウリと、ゆで卵を食べる食生活を続け、肉体改造を行った。「脱ぐというので、かなり体作りを頑張った」と振り返った。山梨県の山中での撮影後、帰る道すがらで、大好きなスターバックスコーヒーのフラペチーノを「ロケの帰りに泣きそうになりながら飲んだ」と笑みを浮かべた。
千葉監督からは、25年のオーディションの段階から「日本だけじゃなく、世界を目指す作品だよ」と言われていたという。「世界の方に見ていただける機会が広がったのが夢みたい。うれしい」と、シッチェス・カタロニア映画祭への出品を、改めて喜んだ。特に「韓国の方にも見ていただけたら、いいなと強く思っています」と期待した。
ダンスを習っていた17年2月に、韓国の芸能事務所からスカウトされてオーディションに参加し、K-POPアイドル練習生として入所した。4年間の修業生活は「芸能に関わること、全てを学ばせていただいた」、かけがえのない時間だ。一方で「女の世界というのもありますし、勝負の世界なので、仲良しこよしでは、いられないのが正直なところ」と、事務所の中での戦いから厳しかった。その中で「普通の中高生活では、ないことを乗り越え、それでも壁にぶち当たって、自分のメンタルコントロールの仕方を勉強させていただいた」ことで、根性がついた。
韓国での修業時代に、厳しくも愛のある指導を受け、父のように慕うコーチにも「呪区」での映画初出演&主演を報告した。「百合は、僕が今まで見てきた中で、一番の努力家だから、芸能で活躍する子になると信じていたよ」とメッセージが届き、号泣したという。「1回『寮から出て行け』と言われ、反抗期の娘のように反抗したこともあった。その人に、日本に帰ってきてからの活躍を一番見せたかった」と振り返り、また涙した。
「ホラーなんだけど全裸でアクションするんだよ」と、作品と役どころについても、詳しく伝えた。驚かれたが「韓国では『ホラーで主演した女優は売れる』と言われる。初の映画への出演、初の主演映画がホラーだから、大丈夫だよ」と太鼓判を押されたという。
全世界がコロナ禍に見舞われた20年に帰国して、将来について考えた。そして「韓国で学んだことや培った経験、韓国語などは私にしかない特別な経験で、せっかくの魅力だから全て自分の糧にして、今度は日本だけでなく韓国をはじめ、世界でも活躍できる俳優として、お芝居で生きたい」と、日本で女優として活動していくことを決意。縁があり、1968年(昭43)11月創業の大手芸能事務所・サンミュージックへの所属が決まった。
南野にとってサンミュージックは、かつて所属していた松田聖子(64)を祖母・母と3代にわたって熱烈に応援してきた経緯があり「幼い頃から芸能界への憧れと結びついていた、とても特別な存在」だった。「所属できるということは、想像していた以上に特別な出来事でした。韓国での経験を経て、改めて俳優として歩んでいこう! と思っていたタイミングで、このようなご縁をいただけたことに大きな意味を感じました」と縁を強く感じた。
韓国で学んだことと、日本に帰国してからのサンミュージックとの巡り合い、2つの縁が「呪区」での映画初出演、主演につながった。そして、シッチェス・カタロニア映画祭での初上映と世界への扉が開いた。南野は「もう、本当に、メチャクチャ恵まれているなって思います」と口にした途端、目から涙が、とめどなくあふれた。その上で「呪区」の撮影を振り返り「しっかり、表現でき、芝居できた。脱いで良かった。と言ったら変な表現ですけど、この撮影を通して自分は成長できた」と、手応えを口にした。



