名作「ジュラシック・パーク」のDNAはそのままに、さらに夢と冒険あふれる作品として生まれ変わった「ジュラシック・ワールド」(現在公開中)。この大作を率いる主人公のヴェロキラプトル調教師、オーウェン役にふさわしい俳優としてキャスティングされたのがクリス・プラット(36)。今回はそんな彼のキャリアを振り返ってみよう。

 いわゆる遅咲き俳優であるクリスは、今でこそイケメン俳優の座を得ているが、注目される前まではちょっと小太りな三枚目キャラとしてのキャスティングが活動のほとんど。高校時代はレスリングに励み、大学を中退した後はアルバイトで生計を立て、車やテントで寝泊まり生活を送っていたクリス。しかし、当時勤務していたレストランに訪れた女優のレイ・ドーン・チョンに自分をアピールしたところ、その人柄を気に入られホラーコメディー映画「Cursed: Part III」(2000)でスクリーンデビューを果たした。

 コメディードラマ「パークス・アンド・レクリエーション」や、「ウォンテッド」(2008)、「マネーボール」(2011)、「ゼロ・ダーク・サーティ」(2012)といったハリウッド映画に出演し、徐々に知名度を上げてきたクリス。そして2014年、自らのキャリアを大きく変えることになったマーベル・スタジオの超大作「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」の主役の座を射止めた。主人公のピーター・クイルを演じるために緩んだ体を大改造したプラットは、もともとひょうきんな性格だったことだった事もあり、ひょうひょうとした佇まいを見せるこのクイル役が見事ハマり役に。ファンはもちろん、業界からの注目を一気に集め、一躍スターダムにのし上がった。

 「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のジェームズ・ガンが、映画公開当時「無名のクリスをキャスティングするのは正直不安だったけど、彼の演技を見て『もしクリスが減量出来なかったら、ちょっと太った主人公に役を修正してでも彼に決めなきゃ』と思ったよ」とプラットの存在感について語っていたが、その影響は巨匠スピルバーグにも及んでいた。「彼を主役に起用するのは安全な策ではなかった。彼の才能は認めていたし、コリンも彼を信頼していたが、それでもリスクがあった。もちろん、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』が公開された時には、自分たちには見る目があると思ったよ。あの映画を作ったのは私たちじゃないにもかかわらずね」。さらに、「クリスは素晴らしい俳優で、スクリーン上で存在感が強い。ユーモアのセンスが抜群でチーム・プレーヤーでもある。今後のキャリアで成功を収めるだろう」と語った。

 そんなクリスは、自身の愛する「ジュラシック」シリーズに参加できた事が心からうれしいそうで、「初めて『ジュラシック・パーク』を見たのは22年前だ。もうそんなに経つなんて信じられない。僕は当時13歳で、公開初日に劇場で見たよ。僕にとって初めての『イベント映画』だった。予告編を見てどうしても見たくなったのを覚えている。僕は『グーニーズ』のファンで、子供ながらに自分が好きな監督はスピルバーグだとすでにわかっていた。当時、あの世代の人々全員を魅了したように、僕も『ジュラシック・パーク』のとりこになったよ。あの時のことは決して忘れないね」と、シリーズ愛を語っている。

 これだけの成功を収めてその立ち振る舞いは至って変わらず、遊び心満載なプラットに日本でもファン急増中だ。【ハリウッドニュース編集部】