尾上松也(31)が「九月新派特別公演」(9月1~11日、東京・新橋演舞場)で新派に初出演する。新派では35年ぶり上演となる「振袖纒(まとい)」で纒持ちの芳次郎、妹の春本由香(23)が妙子役で女優デビューする「婦系図」ではすりの万吉を演じる。

 父方(尾上松助)の祖父春本泰男は新派俳優で、母河合盛恵も新派女優だった。松也は「新派は古き良き日本人の生き様、情感を伝える作品が多く、いつか出たいと思っていたので、とてもうれしい」。「振袖纒」は松也の希望もあって、明治から江戸時代に置き換えた。「まげのとびの格好が好き。粋な姿を見せたい」。

 春本も兄と一緒の舞台で女優として第1歩を踏み出す。「不安もいっぱいなんですが、兄がいると思うと、心強いです」。初めてのスチール撮りに緊張したが、「メークは自分でしたんですが、最後は兄に修正してもらいました。役に入るんだなと、気が引き締まりました」。松也も「どこまでできるか心配もあるけれど、舞台に立てば、後は本人次第。自覚をもって精進してほしい」と温かく見守っている。