人間国宝だった故桂米朝さんに“最も近い落語家”と評されていた故桂吉朝さん(享年50)の十三回忌追善興行が行われることになり、直弟子7人が24日、兵庫県尼崎市内でそろって会見した。

 2番弟子の桂吉弥(46)は「もう12年、えと一回りになるのか」と感慨にふけった後、「僕たちは『吉朝の弟子』と看板を掲げてしゃべらせてもらってる。この機会に『おもろくて、変で、すてきなはなし家がいた』と、皆さんに桂吉朝を思い出してもらえたら」と続けた。

 吉朝さんは05年11月に、いったんは克服して復帰した胃がんを再発させ、亡くなった。地道に培った話芸はあでやかで華やか。一方で調子乗りの表現も抜群だった。先に上の弟子の故桂枝雀さんを亡くしていた米朝さんは、吉朝さんに全幅の信頼を置き、その落語センスを絶賛していた。

 話芸の腕とは別に、劇団にも参加。狂言とのコラボレーションにも乗り出すなどし、「米朝に最も近い落語家」と高く評価されていたはなし家だった。

 吉朝さんの筆頭弟子、桂あさ吉(47)は「師匠が亡くなって、やっぱり一門の結束力は高まった」とも振り返った。

 この日はあさ吉、吉弥、よね吉(45)、しん吉(39)、吉坊(35)、佐ん吉(33)、吉の丞(35)がそろい、修業中に師匠を亡くした末弟子、吉の丞は「師匠の名に恥じぬよう、との思いで、12年やってきた」と話した。

 追善興行は大阪、東京、愛知で行われ、7人がそろっての口上や、弟子のネタのほか、毎公演、トリは吉朝さんの映像が流される。7人で話し合い、各地にふさわしいネタを「師匠ならこう言う」と考えながら決めたといい、映像はすべて読売テレビ「平成紅梅亭」で放送されたものになる。

 公演は10月24日に大阪・国立文楽劇場からスタート。同劇場では、胃がん手術から復帰後に吉朝さんが演じた「化物つかい」を上映する。筆頭のあさ吉は「師匠らしいくすぐりがたくさん入っているので」と説明した。

 公演はその後、10月25日に愛知・中電ホールで、映像は「住吉駕籠」、11月20日は東京・国立劇場(小劇場)で、映像は「猫の忠信」を上映。最終は12月21日、兵庫県尼崎市のピッコロシアター(大ホール)で、レア映像になる「昆陽の御池」に決まっている。