NHK連続テレビ小説「なつぞら」が1日、スタートし、「アルプスの少女ハイジ」や「火垂るの墓」などのテイストを取り入れたアニメ演出の数々が話題になっている。

アニメーターを目指すヒロイン、なつの物語とあって、1話は開始早々アニメで幕開け。ヒロインが戦災孤児となった東京大空襲の回想シーンがアニメで描かれた。戦闘機から焼夷(しょうい)弾が投下され、火の海となった東京で母親と離れてしまったいきさつが約1分間にわたり描かれた。

絵のタッチやおかっぱ頭の女の子の描写などから、ネット上では「『火垂るの墓』みたいで朝から泣いた」「主人公の幼少期がまるで節子」など、「火垂るの墓」がツイッターの急上昇ワードに。「分かりやすい演出」「朝ドラがアニメでエイプリルフールかと思った」など、大きな反響が寄せられた。

続いてのオープニング映像は、一転して「アルプスの少女ハイジ」風。赤い服を着た女の子がシカやキツネなどの動物たちと森を散歩する牧歌的なタッチに、SNS上では「ハイジ」「懐かしい」「世界名作劇場」などのキーワードで沸いた。「火垂るの墓からのハイジ」「ジブリから世界名作劇場」など、大きな反響があった。

アニメで描いた東京大空襲について、磯智明チーフ・プロデューサーは、「将来、アニメーターを目指す話ということをまず印象付けたい。なつの記憶として戦争を表現する上で、アニメは欠かせない表現」。「火垂るの墓」の高畑勲監督へのオマージュを明言し「高畑さんや、その世代のそうそうたるアニメーターの方たち皆さんへのオマージュ。軌跡や偉業の一端でも表現できれば」と話す。

ハイジの世界観のオープニングについては、「将来、ヒロインが作っていくアニメってどういうものだろうと考えた時に、自分たちが子どもの頃に影響を受けた世界名作劇場のラインアップは外せない」とし「今の日本のアニメーションを支えているそうそうたる人たちの高い志があり、そこに入っていく物語というのはわくわくするんじゃないかと思った」と語る。

アニメーション制作は、ジブリ出身のアニメーター、舘野仁美さんのスタジオ「ササユリ」と、東映アニメーションが手掛けている。