ピン芸人日本一を決める「R-1ぐらんぷり2020」決勝が8日、東京・台場のフジテレビで行われ、お笑いコンビ、マヂカルラブリーの野田クリスタル(33)が初優勝した。2532人の頂点に立ち、賞金500万円を手にした。17年M-1グランプリ決勝では、審査員の上沼恵美子(64)にボロクソに酷評され、最下位に終わったが「いいこともあるんだな。ウォーッ」と歓喜の雄たけびをあげた。

M-1、キングオブコントと合わせ、お笑い3冠全てで初めて決勝進出を果たした野田が、R-1で、まず1冠を獲得した。

この日の決勝はブロック戦で「もも鉄」、優勝決定戦で「モンスト」と、いずれも得意のゲームネタを披露し、ぶっちぎりで勝利した。コロナウイルスの影響で無観客となったが「ネタ番組の『あらびき団』で鍛えられてるから、かえってやりやすかった」と振り返った。

17年のM-1グランプリ決勝で酷評された上沼は、R-1を主催するカンテレで人気冠番組「快傑えみちゃんねる」を持つ。野田は「(賞金の)500万円を使って、何かを献上しようと思っています。恵美ちゃん、やったよ!」と笑顔で呼びかけた。その他の賞金の使い方については「雑に使おうかなと思っています。旅行とか(ゲームの)課金とか」。相方の村上(35)には「喜びを伝えたい」と言いながらも、賞金については「絶対にあげません」と言い切った。

これで、目標とするお笑い3冠制覇へ1歩を踏み出した。野田は「トリプル王者にリーチがかかっているのが(霜降り明星の)粗品。粗品を殺すしかない。今、粗品がトリプル王者になると、俺の価値がなくなるので殺します」と、コンプライアンスを気にしておとなしい芸人が多くなった中で、堂々と毒を吐いた。

優勝の副賞で制作できる冠番組について、野田は「ゲーム番組を作りたいと思っています」。

そして、この日のネタに使用した自作のゲームについて「番組に関係なく、全てユーチューバーにやってほしい。連絡もいらないから自由にやって」と、お笑いの世界だけにこだわらず、ゲーム、ユーチューバーを巻き込んだ、新しいお笑いの旗手としての世界観を見せた。【小谷野俊哉】

◆野田(のだ)クリスタル 1986年(昭61)11月28日生まれ、神奈川県出身。吉本興業所属。07年2月、相方の村上とお笑いコンビ、マヂカルラブリーを結成。ボケ担当。17年にM-1グランプリ決勝に進出、18年にはキングオブコントでも決勝進出。今回の決勝進出で、史上初のトリプルファイナリストとなった。筋トレが趣味で、舞台ではたびたび裸になり、肉体美を披露する。趣味はゲーム、パソコン、バスケットなど。特技はパソコンでのゲーム作り。血液型A。

◆R-1ぐらんぷり ピン芸人日本一を決めるお笑い大会。02年から始まり、今年で18回目。前年同様参加資格をプロに限定し、2532人がエントリー。今回は史上初めて新型コロナウイルスの影響で無観客で行われた。優勝賞金は500万円。副賞はフジテレビ系列で放送される冠番組の出演権利。