映画「ミセス・ノイズィ」(天野千尋監督)が、単館系ながら全国50館超で拡大公開され、昨年12月4日の封切りから8週たった今もロングラン上映を続けている。社会的な騒動に発展した隣人同士の対立を描いた物語に加え“布団たたきおばさん”役の大高洋子が、激しく布団をたたく強烈な演技が評判を呼んでいる。55歳と遅まきながらブレイクの兆しが見えてきた。

隣人から見れば、騒音を出し、苦情に逆ギレする“モンスター主婦”だが、実態は精神が不安定な夫と家庭を守ろうという信念がある、けなげな妻。そんな幅のある役どころを演じたことが評価され次のオファーも舞い込んだが「自分を追い詰めすぎるところがある。楽しむことが今のテーマ」と自らに課題を課す。

早大の学生劇団「てあとろ‘50」で活動、卒業後もOLと演劇を並行したが、26歳で1度離れた。40代に入り、人生経験を舞台で表現したいと考え、44歳で「tsumazuki no ishi」の劇団員に合格。13年「できる子の証明」で映画デビューした。「コロナ禍でも世界のどこかで上映され、誰かが私の演技を見ているのが映画のすごさ。作品のパワーに、乗せていただいた。世界中の人と力づけ合いたい」と夢をはせている。

◆「ミセス・ノイズィ」 スランプ中の作家吉岡真紀(篠原ゆき子)は、隣人若田美和子(大高)の布団たたきの音などで執筆が進まず、激突する。反撃のつもりで書いた、美和子をネタにした小説が評判になるが、そこから予想外の事態に発展。マスコミなどを巻き込む大騒動に発展する。