TOHOシネマズは31日、政府が28日に緊急事態宣言の再延長を決定し、東京都と大阪府が映画館に出していた休業要請を6月1日以降、緩和することを受けて、同日から東京都と大阪府の映画館の営業を再開すると発表した。一方で、アルコールの販売は終日、行わないとした。

「いつもTOHOシネマズをご利用いただき、誠にありがとうございます。緊急事態宣言に伴い、東京都・大阪府の劇場の営業を休止しておりましたが、休業要請の解除を受け、下記劇場の一部営業を再開させていただきます」

営業再開劇場は、以下の通り

<東京都>日比谷、シャンテ、新宿、池袋、日本橋、上野、六本木ヒルズ、渋谷、西新井、南大沢、府中、立川立飛、錦糸町(楽天地・オリナス)

・劇場営業時間:午後9時までに上映終了

・座席指定券:原則前後左右1席ずつ間隔を空けて販売

・ビールなどのアルコール類:終日販売休止

<大阪府>梅田、なんば、泉北、鳳、くずはモール

・劇場営業時間:土日は営業休止。平日は午後9時までに上映終了

・座席指定券:原則前後左右1席ずつ間隔を空けて販売

・ビールなどのアルコール類:終日販売休止

東京都は緊急事態宣言の延長が決まった12日以降、劇場や演芸場は上限5000人かつ収容率50%、午後9時までの条件で休業要請を緩和した一方で、映画館には休業要請を続ける独自の休業要請を出した。それに対し、劇場や演芸場と映画館を線引きした明確な基準、合理的な説明がなく不平等だと映画業界から不満や怒りの声が相次いでいた。

全国興行生活衛生同業組合連合会(全興連)と東京都興行生活衛生同業組合(都興組)が、独自の休業要請が始まる前日11日夜に「映画を愛する皆様へ」と題した声明文を発表。「今回の非常に残念な措置を受けたことは理解することが難しく、東京都ご担当者に繰り返しご質問をさせていただきました。そのお答えは、『人流を抑えるための総合的判断』『感染症のリスク上の線引きではなく、人流抑制を目的としたもの』以上のものをお示しいただくことができず、我々の期待したお答えをいただくことはできませんでした」と疑問を呈した。

さらに吉永小百合(76)が22日、都内で行われた主演映画「いのちの停車場」(成島出監督)公開記念舞台あいさつで「演劇は大丈夫だけど、映画はダメとうかがって大変ショックを受けましたし悲しかった。くじけそうになりました」と都に疑問を呈した。

そして24日には東宝、東映、松竹、KADOKAWAの映画製作配給大手4社の団体、日本映画製作者連盟(映連)が声明文を発表。政府に対し、緊急事態宣言下で休業を要請されている東京都、大阪府などの映画館について、感染症対策に万全を期すことを前提に6月1日からの営業再開を認めて欲しいと要求。各地方自治体にも、利用にやむを得ず制限をかける場合、映画館を不平等に取り扱うことのないよう要求していた。

東京都は緊急事態宣言の再延長が決まった28日夜に6月1日以降、映画館にも劇場や演芸場と同じ条件で営業を再開できるよう.休業要請を緩和することを決定。大阪府も映画館、百貨店などの大規模商業施設への休業要請について、土日は継続した上で平日に限り午後8時までの時短営業を認めることを発表した。