ここ数年、街中や商店街を歩くと、から揚げ専門店が増えていることに気付く。先日も、ゴールデン帯のテレビ番組で、から揚げ戦争を取り上げていた。

「から揚げの天才」もそんなブームに乗った専門店だ。タレントのテリー伊藤(71)と株式会社ワタミが展開しており、今月には100店舗を達成。1号店オープンから2年7カ月での100店舗達成は、日本の外食チェーンで最速だという。

都内で行われたこの100店舗のセレモニーには、多くの報道陣が集まった。私たち芸能記者はテリー目当てだったが、4度目の緊急事態宣言発令の直前というタイミングでもあり、ワタミの渡辺美樹会長目当てで、一般紙やテレビ局の社会部や経済部の記者が集まった。

セレモニー後には、テリーと渡辺会長が分かれて囲み取材を受けたが、どちらかというと、渡辺会長を取材する記者の数の方が多かったように思う。やはり、今の世間の関心事は、コロナ禍とその影響を最も受けている業界の1つの飲食業界ということなのだろう。

そういえば、飲食業界への指導、いや締め付けをめぐっては、菅首相と西村経済再生相が、酒類の提供を続ける飲食店との取引停止を酒類販売業者に求めたことについて相次いで謝罪したばかり。政府は方針を撤回するなど、二転三転というかぐらついている。

それにしても、コロナ禍の感染収束のためとはいえ、飲食業界が必要以上にやり玉に挙げられていると感じる。根拠が科学的に示されるわけでもない。現政権は昨秋、GoToトラベル事業を進めた際には「感染が広がったエビデンスはない」と断言していた。エビデンスでさえ、現政権では忖度(そんたく)されるものなのかもしれない。

取材に応じた渡辺会長の主張は明確だった。人流を抑えた方がいいとは思うので、居酒屋は休業要請を受け入れるとし「緊急事態ならば、本当に世の中を緊急事態にして欲しい。緊急事態なのに営業している業態がある。政治家は街を歩いて欲しい。国会は休んでいる場合じゃない。(罰金も)25万円なら営業するお店もありますよ」と、ごもっともな発言ばかりが飛び出した。

個人的には飲食店を支援したい。ただ、営業している店にいくのは、休業している店に申し訳ない。ということで、8月23日を待つしかないのだが…。せめてものということで、ある店のいわゆるクラウドファンディングに応募することにした。夏の終わりが待ち遠しい。【竹村章】