ベテラン落語家の三遊亭金翁(92)が30日、東京・鈴本演芸場で、「金翁芸歴80年記念の会~金翁ロードショー」を開催した。金翁の芸歴80年を記念した興行で、息子の5代目三遊亭金馬(58)柳家喬太郎(57)らがお祝いに駆けつけた。

金翁はトリで「景清」を披露。「生きている限りしゃべっているつもりですので、よろしくお願いします」と話すと、客席から大きな拍手を浴びた。

1941年(昭16)に3代目金馬に入門した落語界の最古参。終演後取材に応じた金翁は、元気の秘訣(ひけつ)について「そりゃあやっぱり気持ちが大事。俺はダメなんだと思ったらダメだと思います」と話した。18年7月には心不全で入院したが、現在の体調については「口の方はある程度達者だけど、足腰が悪い。これが困りものですね」と苦笑い。「命があったんだから、何とかして高座復帰したい、落語がやりたいという気持ちがありました。それが生きがいですから」と意欲を語った。

この日は、80年の歩みを金馬、喬太郎とスライドで振り返った。初高座の前に撮ったという当時12歳のモノクロ写真を見ると、歴史の長さに「何をやったか(演目を)忘れちゃったねえ」。小金馬時代に苦楽をともにした腹話術人形の「ター坊」も登場し、「現在までの私を作ってくれた命の親」と再会を喜んでいた。