俳優の佐野史郎(66)が10日、多発性骨髄腫の治療中であることを、この日、放送されたテレビ朝日系「徹子の部屋」で明かした。

佐野は今年5月、TBS系連続ドラマ「リコカツ」を降板することを発表していた。

舞台役者時代に「役を降ろされた」ことはあったというが「自ら役を降りた」のは初めての出来事だったという。

この日の放送で初めて病名を公表した。病名発覚時は撮影中だったこともあり、「すごく迷惑をかけるのではっきり申し上げるのは控えました」と話した。当初は、39度の高熱が出たため、翌日にPCR検査を受けたが結果は陰性。その翌日に血液検査を行ったところ「白血球の数が少なく、異常があるということで、さらに詳しく調べることになりました。翌日、詳しく調べてもらったら、“多発性骨髄腫”の疑いがあるということで、急きょ入院することになったんです」と詳細を明らかにした。

急な入院だったこともあり、家族への連絡は「LINE」で行ったという。入院中は「体の状態が良くなかったんですけど食欲はあって、食事はとれていた。週に1回は『ご飯を一緒に食べよう』と言って、リモートで向こうにタブレット置いて、こちらでスマホを置いて食べていました。それが楽しみでした」と入院生活を振り返った。

1カ月ほどで退院できる予定だったが、高熱が1カ月間ほど続き約2カ月の入院生活に。「1カ月ぐらいすれば、抗生剤でおさえて退院できるといわれてたのに、いくらたっても熱が下がらないんです。敗血症になってしまっていて、実際にそれがいちばんつらかったですね。38度から39度が続くと、『ちょっとなんとかしてくれ』って思いますよね」と高熱続きの毎日を振り返った。

治療については、「この分野は治療がとっても進んでいるそうなので、今は自分の中の良い細胞を取り出してそれをもう1度移植しなおして、再生しようという治療をしています。順調に進んでいます」と話した。

公表した現在の心境は「ちょっと楽になった気持ちと、何をみても出演すると病気だったんだなって(思われるのかな)。それも含めての俳優の仕事だと思いますし」と前向き。「なによりも日々の1日1日、一瞬一瞬がありがたく感じます」としみじみ話した

◆多発性骨髄腫 武田薬品のホームページなどによると、「骨髄」の中にある「形質細胞」と呼ばれる細胞が、がん化し、「骨髄腫細胞」となり増殖する病気。病気が進行すると骨の破壊による痛みや骨折、タンパクの産生による腎障害、また造血が妨げられることによる貧血、感染症などさまざまな症状や臓器障害が現れるという。