井之脇海が5月4日に初日を迎える「エレファント・ソング」で舞台初主演する。先日、同作に関するインタビューで聞いた、井之脇の役へのアプローチが印象的だった。
取材した時は、NHK連続ドラマ「ちむどんどん」の撮影期間中。近年はドラマ、映画など映像作品での活躍が続いている。さらに初主演の舞台。役の切り替えが大変では、と聞くと「僕は『違う人になる』という感覚ではないんです。(演じる役を)自分とは別のところにつくって、そこに入るわけではないので」と語った。
説明を加えてくれた。「こうやってインタビューを受けている時と、親の前にいる時、友達といる時、しゃべり方も身の振り方全然違うじゃないですか。でもどれも僕。TPOに合わせていろんな顔を持っている。役をまったく違うところに作るということではない。役のバックボーンと目的、設定を徹底的にたたき込むと、湧いてくるものがあるので、それをとらえる」のだそうだ。
ちょっと難しい話になってきたが、自分が持つさまざまな『顔の1つ』のように、役をとらえるのだと理解した。
「ちむどんどん」では、ヒロインが東京で働くレストランの先輩を演じる。「『ちむどんどん』は撮影中ですが、『エレファント・ソング』の稽古に入れば、それをいったん忘れて、また新しく徹底的にたたき込めば、こんがらがったりすることはない」ときっぱり言った。
ある意味、役が憑依(ひょうい)するということなのだろうか。井之脇は「憑依はもっとその先にあるのかもしれないですね」。テクニックだけではない(ある意味テクニックなのかもしれないが)、心や感情を理解して、深く掘り下げる作業なのだろう。
背景や設定を徹底的にたたき込むと、役から抜け出せなくなることはないのかと聞くと「役を引きずれた方がかっこいいんですけどね」と笑った。「今からこの稽古に行くぞってなった時、今まで考えたことをばーっと入れる。24時間かかるわけじゃないので大丈夫です。そうなったら他の役のことは考えないです」。
さらりと語ってくれたが、経験を重ね、試行錯誤を繰り返して見つけたやり方なのだろう。おそらく今後も進化を続けていくであろうと思われるので、また井之脇に取材をしてみたいと思った。【小林千穂】



