女優渡辺美佐子(89)が9日、都内で、舞台「美しきものの伝説」(6月16~26日、東京・俳優座劇場)で、舞台女優としての出演を締めくくることを報告した。

渡辺は「持病もなく健康です。舞台は元気でなくてはいけない。この先元気がどうしぼんでいくか分からないので、元気なうちに」と語った。初舞台を踏んで68年、舞台出演に区切りを付ける。

ただ、ライフワークでもある朗読劇は「ご要望があればどこへでも行きたい」と話し、映画やドラマについても「おもしろそうだなと思うものがあればやらせていただきたい」とした。

「美しき-」で渡辺は、新劇女優第1号の松井須磨子を演じる。7つの劇団による「新劇交流プロジェクト」の公演。新型コロナの影響で2年延期された。

取材会では、舞台をはじめ、映画やドラマを振り返った。思い出の舞台に、井上ひさし氏による「化粧」、田中千禾夫氏による「マリアの首」などを挙げた。

渡辺は舞台、映画、ドラマで活躍。舞台ではコメディー、社会派、シェークスピアなど幅広いジャンルに出演した。ドラマは、NHK連続テレビ小説「おしん」では主人公の髪結いの師匠を演じた。ほか「春よ、来い」「渡る世間は鬼ばかり」など。映画は「果しなき欲望」でブルーリボン賞助演女優賞。