大麻製品の所持を理由に今年2月にロシアの税関当局に身柄を拘束された米女子プロバスケットボール(WNBA)のスター選手ブリトニー・グリナ-(31)の解放に向け、米ロ間で人質交換の交渉が進行中であると米FOXニュースなどが報じた。

五輪で2個の金メダルも獲得しているグリナ-は、WNBAがオフの時期はロシアのUMMCエカテリンブルクでプレーしており、2月に入国した際にモスクワ空港で手荷物から大麻オイルの入った吸引機が見つかったとして逮捕されていた。有罪が確定すれば禁錮10年を科せられる可能性がある。

報道によると、ロシア側は安全な返還条件として武器密輸などの罪に問われ米国で収監中の「死の商人」の異名を持つビクトル・ボウト服役囚との交換を希望しているという。旧ソ連の空軍士官で世界各地の紛争地域に武器を売りさばいていたボウト服役囚は、米麻薬取締局の1年間に及ぶおとり捜査の末に2008年に逮捕され、禁錮25年の有罪判決が言い渡されている。米政府は先月、グリナ-がロシア政府によって不当に拘束されているとの見解を示し、人質問題担当の大統領特使にこの件を預けることを発表していた。

グリナ-は13日、モスクワ郊外ヒムキの裁判所で行われた公聴会に出廷し、手錠をかけられ、オレンジ色のパーカーのフードを目深にかぶり、トレードマークのドレッドヘアをのぞかせた法廷での姿を撮影した写真が公開されていた。裁判所は勾留期間を6月18日まで延長したと報じられている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)