お笑いコンビ、ロッチが25日、東京・北沢タウンホールで、単独ライブ「すってんこロッチ」の千秋楽公演を行った。初めて中岡創一がコントの原案を考え、コカドケンタロウが脚本・構成・演出を担当。オール新作コントで、2日間3公演を完走した。

今年3月にテレビ番組のロケで、中岡が右足関節外踝骨折を負い、全治2カ月となったが、この日はその影響を全く感じさせない動きをみせた。8本の新ネタを披露。歌ネタなど新たなジャンルにも挑戦し、会場を爆笑の渦に包んだ。

声を張るようなネタが多かった中岡は、ライブ直後に取材に応じ、5秒開けてから「…大変やったっすね…」としぼりだした。続けて「何だろうな、でも喜んで帰ってもらえてよかったなというのが一番かもしれないですね」。

コカドは「いつも、終わった直後はほんまわからないんですよね。改めて打ち上げとかでしゃべっていて、あーそうだったなみたいな。思い出したりしていく。真っ白に近い状態。なかなか振り返るのに時間かかるというか」と独特な感覚を口にした。

ネタの合間のVTRでは、ロッチの“ホーム”ともいえる下北沢の飲食店などを紹介するなど工夫を凝らした。中岡は「来てくれた人に、帰りも楽しんでほしいなっていう」。以前はネタをみせるだけのこともあったといい「帰りまで楽しんでいただきたいという気持ちになったのはおっさんになってきたからかもしれないですね」と笑った。

ライブでこだわった点を聞くと、コカドは「いつもよりビジュアルをちゃんとした方に描いてもらったり。それと同じ色のパネルを立ててみたり。単独ライブ感をいつもより出せた」。

VTR以外にもコカドが趣味で自作したバッグを抽選でプレゼントするなど、多面的に楽しめる内容となった。コカドは「そういう部分もネタの笑いの何%かにはなっているのかなと。何もなしにやるよりは。お客さんがワクワクしてくれて、ネタに入ってくれている感じがした」。

今回のライブを通して感じたことを聞くと、中岡は「ハプニングもあったし、いろいろあったっすけど、ぼくの場合、けがスタートから始まって、タイトルもそうですけど。まあ何があってもできるかなって思うようになりましたね。こういうやり方でやってくれんねやっていう。いろんな経験値になった」と充実した表情を浮かべた。どんなアクシデントもネタに変える芸人魂。チケットは3公演とも完売したという。梅雨が明けたかのような暑さの中、ベテラン実力派コント師が大盛況で毎年の恒例行事を終えた。【佐藤成】