お笑い芸人の加藤浩次(53)が23日、MCを務める日本テレビ系「スッキリ」に出演。安倍晋三元首相の銃撃された事件をめぐる不確かな情報がネット上で拡散されている問題について報じながら、事実ではない情報を信じる人が後を絶たない現状に触れ、拡散する側について「悪意の部分も半分以上あると思う」と私見を述べた。

同番組では、安倍元首相が銃撃された時間帯に近くのビル屋上に白いテントが設置されていたことから、逮捕された容疑者とは別のスナイパーがこのテントから狙撃したのではないかと臆測するYouTube動画がネット上で拡散されたことを取り上げた。

その後、このビルの管理会社は白いテントについて、ビルの排煙ダクトの清掃作業などで業者が設置したものだと説明。YouTube動画も削除された。こうした情報が拡散される背景について専門家は、自分に都合の良い情報ばかりを集める「認知バイアス」などの心理現象が働くのだと説明したが、加藤は「俺、絶対違うと思うんだけど。だって今こうやってスッキリで『これはデマですよ』ってしっかりVTR作って構成してお届けしたと思うんですけど、それでも『ウソだ』って言う人がいるから。これは認知バイアスとかそういうものじゃなくて、そこ(事実ではない情報)に入り込んでしまって、他が言うこと、テレビで言ってることはどうせウソなんでしょ、って勝手に思い込んでしまってる」と私見を述べた。

また、「今回の場合、スナイパーがいるって、ユーチューバーなんかが言い出してるんですよ。根本的にユーチューバーとかって再生回数を稼ぎたいから、そういったデマをバンバン発信していくユーチューバーも中にはいる」と指摘。「人間の本質的なものというより、悪意の部分も半分以上あると思う」と推測した。

コメンテーターを務める日本文学研究者のロバート・キャンベル東大名誉教授も、「とにかくバズらせたいということで、認知バイアスというよりももっとシンプルにどうしようもなく、面白く(しようとしている)」と加藤の意見に同意した上で、「底が浅いけれども、止めることがすごく難しい。バズらせたい人の主張に『そうじゃない』と言ったところで、(拡散が)止まるわけじゃない。遊び半分でやっていることが、遊びじゃなくなっていくということが常に危険としてある」と警鐘を鳴らした。