土屋アンナ(39)が、35周年を迎えた人気ゲーム「サガ」シリーズの舞台化第3弾「SaGa THE STAGE~再生の絆~」(22日から、東京・サンシャイン劇場)で、シリーズ屈指の悪役キャラ2役を演じる。過去を背負い、悪の化身となった女性像は、作品の格調をきめる重要な役どころ。「ロックに通じるものがある」と、演じる魅力を語っている。【梅田恵子】
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「サガ」シリーズ舞台化第3弾となる今作は、魔物にさらわれた妹を探すため、魔獣討伐の塔士となった主人公ポルカ・リン・ウッド(松田凌)が、仲間たちと未知の世界へ向かう物語。土屋は、子を奪われた復讐(ふくしゅう)心から魔女となり、ポルカたちと壮絶な戦いを繰り広げるイーヴリンを演じる。また、ゲームで描かれなかったポルカ編の「その後」を描く2部では、究極の悪役であるアリの女王、リアルクイーン・ラプタスを演じる。
映像、音楽、歌、ダンス、殺陣などの演出を駆使し、ゲームの世界をエキサイティングに立体化する人気舞台。初参加の感想を聞くと、「何この難しさ、めっちゃ楽しい! って感じ」と目を輝かせる。2・5次元作品の人気者やプロのブレイクダンサーなど、多彩な才能が集結した座組みに、「アーティストの宝庫。みんなが自分の持っている才能をひたむきにぶつけている現場で、すでに安心感がある」と話す。
舞台作品への出演は3作目。初の悪役は演じがいがあるという。「傷ついて、怒りと悲しみがこみ上げて、守るためにどんどん悪くなってしまった背景がきちんとあるので」。自身も4人の子どもを持つ母。「イーヴリンの根底にあった母性愛には共感できるし、従う者たちを守るというラプタスの意思も分かる。守るため、すべてを壊すという人間の複雑さですよね。私ならどうする? みたいな。コレで焼酎5杯くらい飲めます(笑い)。答えのない話が好きなの」。
悪役をロックで理解するのも、ミュージシャンであるこの人らしい。「激しくて破滅的なメッセージの裏には、世の中への怒りや自分への怒り、傷ついたからこその言葉がある。今で言えば、世界の紛争で子どもたちが犠牲になっていることとか。だから多分私はロックをやっていて、そこが悪役とちょっと通じるものがあって。バラードやポップのように大勢に好かれなくても、何人かが気付いてくれたらという悪役の楽しさにハマっています」。
自身も「傷つきまくりの人生」というが、「修復が早い」とカラッと笑う。「石橋をたたかないで渡るというか、橋だと分からずに行っちゃいます(笑い)。途中で橋じゃないと分かったら泳ぐ。どんな結果でも後悔しないんです。世の中、私よりつらい思いをしている人はたくさんいる。戦争で私には想像できないくらいつらい経験をした祖母も『何とかなる』と言うんだから、全然耐えられる」。
「サガ」シリーズの生みの親として知られる河津秋敏氏(スクウェア・エニックス)が世界観監修、脚本原案を担当している。原作ゲームファンの評価に飛び込んでいく怖さは「全然考えない」と明快だ。「このゲームがすてきだからこそ、これを生で見せたいとみんなが信じて作っているので。そもそも賛否両論は絶対いいこと。このゲームが好きだからこその言葉で、愛なんです」。
ランウエーや音楽のステージとともにキャリアを積み、観客と空間をともにするライブの素晴らしさを熟知しているゆえの強さだ。「人間が生でやるからこその迫力や感動は舞台ならでは。お客さまも私たちも、知らない者同士が同じ一瞬を堪能して、人間って最高の遊び知ってるよね、ってうれしくなる」。ゲームファンはもちろん、原作を知らない人にも楽しんでほしいという。「みんなでかっこよくて美しい作品をお見せしますので、この世界に飛び込んでほしいです」。
■母のやさしいまなざし 4人の子どもとの「絆」
<テーマを語る>
タイトルにもなっている「絆」は、物語の大きなテーマだ。この言葉をどうとらえているのか聞くと、「まず自分じゃないですかね」と答えた。「こうなりたいという自分と、リアルな自分をちゃんと結びつけておかないと、周りに壊されちゃったりもする。自分を信じるという、自分への絆は絶対的に必要だし、それがないと人との絆もないと思う」。
プライベートでは、19歳、13歳、6歳、5歳の4人の子どもを育てる母である。子どもとの絆を語ると、優しいまなざしになった。
「母の側は『死んでも守る』という絆を絶対持っているんだけど、子どもの側は、大人になっていく過程でだんだんそれを見つけていくんじゃないかな。ティーンエージャーだと『何だよクソばばあ』みたいなのもあってこのやろうと思いますけど、それも自分自身を見つけている旅の最中なので。絆は最初から結ばれているんだけど、1回ちょっとうっすらになるんですよ(笑い)。で、最後にまた太くなるような気がする」。
子どもたちも、本作への出演を喜んでくれたという。「ゲームめっちゃ好きなんですよ。『すごい』と言ってくれて、みんな『サガ』知ってるんだなってうれしかった」。自身はゲームはまったくやらないと明かす。「機械オンチなので、ゲームの操作は難しくて。テレビのリモコンもギリギリアウトなくらいなので(笑い)」。
◆「サガ」シリーズ35周年記念公演「SaGa THE STAGE~再生の絆~」 ロアーヌ侯国ゼノン侯は、大災厄に対抗するため、異界につながる塔グレイヴ攻略のための塔士団を設立。サーカス団の花形であったポルカ・リン・ウッド(松田凌)もまた、魔女にさらわれた妹リズ(高槻かなこ)を救出するため塔士となった。苛烈を極める魔獣との戦いの果てに待ち受けるものとは。世界観監修・脚本原案河津秋敏(スクウェア・エニックス)、脚本・演出とちぼり木(スクウェア・エニックス)。22日~25日、東京・サンシャイン劇場、29日~3月3日、大阪・サンケイホールブリーゼ。
◆「サガ」シリーズ 89年発売の「魔界塔士サ・ガ」から始まるスクウェア・エニックスのロールプレーイングゲームのシリーズ総称。シリーズソフトの世界累計出荷・ダウンロード数は1100万本を超える。今年はシリーズ完全新作「サガ エメラルド ビヨンド」の発売も控えている。
◆土屋アンナ(つちや・あんな)1984年(昭59)3月11日、東京都生まれ。98年にモデルデビュー。04年、映画「下妻物語」に出演し、ブルーリボン賞最優秀新人賞など8個の賞を受賞。02年にミュージシャンとしてデビュー。06年にアニメ「NANA」の歌唱キャストを務めて海外でも話題に。18年、米ニューヨークの国連本部で行われたファッションイベントでランウエーを歩いた。4児の母。168センチ。血液型A。



