落語家春風亭昇太が66歳で東海大を卒業した。このほど、神奈川県平塚市にある東海大湘南キャンパスで、学位授与式を取材した。

昇太は東海大4年の時に春風亭柳昇さんに弟子入りしたため中退したが、24年10月に人文学部人文学科に復学した。21年に同科の客員教授を委嘱されたことで、復学制度を知ったという。

授与式では、司会を務める日本テレビ系「笑点」にちなんで、特注の座布団10枚を記念品として受け取り大喜びだった。

謝辞での言葉や、終了後の囲み取材で語った話がなかなか心に響いた。謝辞では、学生時代に落語に出会ったことを語り「落語ってつまらないものだと思っていた」ところから「ちょっとおもしろい先輩がいて、落語研究会に入り」、さらに落語家に弟子入りすることを決心したとした。すごい転換だ。

こうした体験から「先入観ってくだらない。自分の頭の中で思っていることって大したことない。好きなことをやるのはすごく簡単。でも、とりあえずやってみたら、今よりもっと好きになるものに出会える」と語った。何かに誘われたら、まずは乗ってみるという心がけも話していた。年齢を重ねると、好きなことや慣れたものばかりになりがち。新しいことに、と思っていながらできないことが多い。とりあえずやってみるのもいいかもしれないと思った。

また、60歳を超えて学びなおしたことについて「勉強は年を取った方ができる。記憶力はゼロというかマイナスに近くになっているんですけど、生きているうちに頭の中にいろんな情報が入っているので理解力が若いころよりも上がっている。講義聞いてても本当におもしろかった」と振り返った。

4月からは客員教授に戻るそうで「まだまだ勉強したい」と意欲的だった。卒論テーマは城の改修だったが、今後学んでみたいことを聞かれると「正座と落語との関わり」とした。「落語の発生は正座があったからこそ。日本にしかない演劇スタイルの落語と、日本にしかない正座は共通している」と話していた。聞きながら、ぜひいつか、研究成果を知りたいと思った。

取材中に「普段の僕と違うでしょ」と、報道陣を笑わせる一幕は昇太らしかった。

48年越しに大学を卒業した昇太に、元気をもらった。【小林千穂】