大相撲の八百長問題がテレビ界を襲った。NHKの定例会長会見が3日、東京・渋谷の同局で行われ、松本正之会長(66)は「従来とは別次元の重大な事態。放送するか、しないか以前の問題」と、厳しい姿勢を見せた。11日に予定していた「福祉大相撲」の中止を発表。相撲協会による今後の調査結果や対応次第で、3月の春場所の中継中止が視野にあることもうかがわせた。

 松本会長は会見の冒頭、「第44回福祉大相撲」の中止を発表した。八百長問題の影響で混乱する中、実施は困難で、開催しては視聴者の理解が得られないと判断したと明かした。

 春場所の中継についてはこれから検討するとし、明言を避けた。だが、その一方で「重大な事態。放送するか、しないか以前の問題」。さらに「従来とは次元が違う」「極めて遺憾。相撲協会の根幹の問題」と厳しい言葉を連ねた。

 昨年の野球賭博事件では、名古屋場所の生中継を中止し、ダイジェスト版で放送した。「従来とは次元が違う」「放送以前の問題」との発言には、このままでは3月の春場所の中継はできないとの強い意向を感じさせた。さらに、春場所の開催自体さえ危ぶんでいるようにも聞こえた。

 相撲協会は同問題のための特別調査委員会を設置している。松本会長は中継するか、しないかの判断時期に「調査結果を踏まえて出す」と語った。相撲協会が開催を決定した場合は「前回のこと、今回のことを踏まえ、そのときに判断する」とした。判断基準については「前回(野球賭博事件)を下敷きに、ただ、今回は(こちらの)判断以前の問題。相撲協会の判断、調査を見守って」と語った。

 NHKには、2日に問題が発覚してから3日正午までに430件の視聴者の厳しい声が寄せられた。半数は「許せない。しっかり追及してほしい」「場所の開催をやめるべき」など問題全般に関する声で、残りの半数は「中継すべきではない」という声だったという。

 [2011年2月4日8時57分

 紙面から]ソーシャルブックマーク