B’zや大黒摩季(43)倉木麻衣(30)ら人気歌手の音楽ソフトを手掛ける大手音楽事務所「ビーイング」グループ約30社と創業者の長戸大幸取締役(65)が国税局による税務調査で、12年までの5年間に、計約20億円の申告漏れを指摘されていたことが9日、分かった。うち約10億円は仮装隠蔽(いんぺい)を伴った所得隠しと判断されたもようだ。赤字決算の期があったため、重加算税を含む追徴税額は法人税、源泉所得税、所得税合わせて、2億数千万円とみられている。

 東京、名古屋、大阪の3国税局による税務調査で申告漏れを指摘されたビーイング側はこの日までに、「見解の相違はあったが、国税当局の指摘を受け入れ、修正申告した」とコメントしている。ビーイング側や関係者によると、同社は契約する歌手の育成費用として数千万円を経費に計上。国税当局は、一部が相場より高額で対価性に欠けるとして、歌手が所属する芸能事務所2社への寄付金と判断したという。

 また「アトラスト」(大阪)など関連の不動産会社は、東京や大阪に所有するマンションの一部を空室などと偽り、所属歌手や幹部を無償で入居させていた。国税当局は、家賃分は幹部らへの事実上の給与だと認定し、源泉所得税を追徴課税した。また、京都市内のビルでテナントへの立ち退き料処理にからみ、約4億円の申告漏れを指摘されたという。

 国税当局は、さらに長戸取締役の親族や知人名義で保有していたグループ株の売却益1億数千万円についても、実質的な所有者は長戸取締役だったとして、所得税を追徴課税したもようだ。ビーイング側は「株売却に関して長戸氏が課税されたのは約200万円で、高額な課税は発生していない」としている。

 追徴課税は、赤字決算の期があったため、法人税、源泉所得税、所得税合わせて、2億数千万円とみられる。同社はこの日、申告漏れの事実関係について日刊スポーツの取材に対し「担当者が不在のため、お答えしかねます」と話した。

 ◆ビーイング

 1978年(昭53)に東京都港区に設立した音楽制作会社、レコード会社。これまでにB’zをはじめZARD、WANDS、大黒摩季、DEEN、T-BOLAN、倉木麻衣ら人気アーティストが所属。90年代には手掛けるアーティストの音楽が次々とヒットしたことで「ビーイングブーム」と呼ばれた。民間の信用調査会社によると、12年3月期の売上高は110億円。音楽学校や不動産業などのグループ会社を多数抱える。