安倍派パーティーであいさつする岸田文雄首相。今月は主要派閥のパーティーは「はしご」していた(21年12月6日撮影)
安倍派パーティーであいさつする岸田文雄首相。今月は主要派閥のパーティーは「はしご」していた(21年12月6日撮影)

日本における新型コロナウイルス感染は、感染者数が以前よりは低く抑えられているものの、新たにオミクロン株の登場で、先行きに不安が出る流れとなっている。夜の街を歩くと、都心では例年のような混雑はないが師走のにぎわいが戻りつつあるように感じる。

そんな中で、ほかにも戻ってきたものがある。首相動静に登場する「総理メシ」だ。

岸田文雄首相の日々の動きを追った動静によると、10月4日の首相就任後、ほどなく衆院選に突入したためその月はないが、11月に入ってからは、昼、夜の会食がちらほら入ってきた。

おもなところを見ると

11月12日 昼に「ザ・キャピトルホテル東急」で小野寺五典元防衛相らと中国料理店「星ヶ岡」

13日 夜に裕子夫人と高級フレンチ「オテル・ドゥ・ミクニ」で食事

18日 夜に事務所スタッフと神楽坂の焼き鳥店「本家あべや神楽坂店」

19日 夜に公邸で木原誠二官房副長官と食事

22日 昼に自民党の麻生太郎自民党副総裁、茂木敏充幹事長、松野博一官房長官とホテルニューオータニの日本料理店「千羽鶴」

27日 夜に地元スタッフと赤坂の焼き肉「叙々苑 游玄亭赤坂」

29日 夜に村井英樹首相補佐官、小林史明デジタル副大臣と銀座のイタリア料理「リストランテ クロディーノ」

今月に入ると

3日 昼に麻生、茂木両氏、公明党幹部らとザ・キャピトルホテル東急「星ヶ岡」。夜にニューオータニ「千羽鶴」で根本匠元厚労相ら

7日 夜に、丸紅会長と銀座の日本料理店「新ばし金田中」

11日 夜に夫人や地元事務所スタッフと銀座のすし店「鮨 高山」という感じだった。

今月7日の会食では、店の近くでぼや騒ぎが起き、首相専用車が消防車に囲まれ、ニュースもになった。

コロナ禍に本格的に入った昨年はじめから国民には会食の自粛が求められ、実際に会食することもなくなった。政治家につきものの、いわゆる「夜日程」が激減してきたのもこの頃だ。

ただちょうど昨年のいまごろは、菅義偉前首相が政府のコロナ分科会が5人以上の会食自粛を呼びかける中、自民党の二階俊博前幹事長との高級ステーキ会食を含む連日会食をして、批判を浴び、反省宣言を余儀なくされた。

その前任の安倍晋三元首相もコロナ禍での会食を国会で批判され「大人数」でないとして、批判に反論したほか、芸能人やメディア幹部らなどとの会食も特徴の1つだった。かつて麻生太郎元首相は、ホテルのバー通いなどを批判された。小泉純一郎元首相は庶民的な店も好んだ。歴代首相の「総理メシ」にはさまざまな特徴もあったが、コロナ禍になって以降は特に、国民の厳しい視線が注がれているのは確かだ。

それを踏まえながら岸田首相の「総理メシ」を見てみると、今のところ、夜の食事では夫人や事務所スタッフ、側近など「身内」が登場することが多く、焼き鳥店なども登場する。一方で、麻生副総裁や茂木幹事長と2度、公明党幹部とも1度、ホテルランチをするなど、与党内実力者との情報交換の場も設けている。会食のはしごは、今のところはない。必要に応じて会食するという感じで、首相が「はしご」している夜日程は、自民党主要派閥のパーティーだけだ。

自民党関係者によると、首相は高級店を好んで飲み食いしたりするタイプではないという。ただ、1議員から首相になればこれまでとは事情も変わる。特に今はコロナ禍で、前任の2人の首相が会食問題で批判された経緯もあり、店選びや人選には周囲も細心の注意を払っているはずだ。

昨年冬に比べれば会食の頻度も国民の間で増えている。そんなご時世もあってか、「総理めし」もそろ~り再開、されたような感じなのだろうか。政治家にとっていわゆる会食は、食事だけでなく人脈構築などの面でも大切だと聞いたことがある。食事せずとも、面談で十分とも思うのだが。【中山知子】