日銀の植田和男総裁は19日(日本時間20日)、米ワシントンで講演し、一時的な要因を除いて基調的に物価が上昇し続ければ「(追加で)金利を引き上げる可能性が非常に高い」との考えを改めて強調した。具体的な時期には言及しなかった。日米の金利差が意識され記録的な円安が進んでおり、追加利上げを巡る発言を受け、市場の関心は高まりそうだ。

日銀は3月の金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策の柱であるマイナス金利政策を解除し、17年ぶりに利上げした。市場では追加利上げのタイミングとペースが注目されている。

植田氏は講演で、足元の物価上昇率は日銀が物価安定の目標とする2%を下回っているため「緩和的な金融環境が必要だ」と訴えた。その上で「(金利操作などの)政策変更が経済と物価に及ぼす影響を慎重に評価する必要がある」とした。

一方で、これまでの30年間、物価上昇に応じて持続的に金利が上昇する局面がなかったことで「過去のデータを使用して推定することは難しく、私たちにとって挑戦になる」とも説明した。

米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ開始時期を巡っては、想定より遅れるとの見方が強まっており、円売りドル買いによる円安基調が続いている。(共同)