北朝鮮の朝鮮中央通信は20日、同国のミサイル総局が19日午後に西方の黄海側に向けて戦略巡航ミサイル「ファサル(矢)」の発射実験を実施したと伝えた。「超大型弾頭」の威力を確かめたとしている。ほかに新型の対空ミサイルの発射実験も行い、いずれも成功した。韓国軍は動向を捕捉していたという。

米韓両空軍は12日からF35Aステルス戦闘機など約100機が参加した合同訓練を続けており、北朝鮮は新型対空ミサイルの発射で対抗姿勢を示した可能性もある。

北朝鮮は今年に入り、核弾頭の搭載が可能だとするファサル系列のミサイルを繰り返し発射している。今回は技術の高度化が目的で「周辺の地域情勢とは無関係な活動だ」と主張した。

発射場所や飛距離、高度などは不明。韓国軍合同参謀本部は20日、北朝鮮が19日に発射した巡航ミサイルと地対空ミサイル数発を監視・追跡していたと明らかにした。

これまでの韓国側の推定によるとファサル系列のミサイルの射程は1500~2千キロとされる。韓国全域に加え在日米軍基地が標的となり得る。

巡航ミサイルは弾道ミサイルと異なり、国連安全保障理事会決議による発射禁止の対象外。北朝鮮はいずれのミサイルについても迎撃回避や威力増強などの技術開発を進めている。一方、航空戦力では米韓に大きく引き離されている。(共同)