人工知能(AI)に対する2023年の各国の民間投資額で、米国が672億2千万ドル(約10兆円)と首位だったことが7日、米スタンフォード大の推計で分かった。6億8千万ドルで12位にとどまった日本のほぼ100倍に達する。2位の中国は77億6千万ドル、3位英国は37億8千万ドルで、日本は大きく後れを取っている。

4位はドイツ(19億1千万ドル)、5位はスウェーデン(18億9千万ドル)だった。韓国とインドは9位でともに13億9千万ドル、シンガポールが11位の11億4千万ドルと、日本の投資額はアジアでも見劣りした。

米国はデータを学習する仕組み「AIモデル」も23年に計61と最も多く生み出した。欧州連合(EU)の21、中国の15を大幅に上回った。日本は同大が公表した国別の上位10カ国までに入らなかった。10位はエジプトの2だった。

一方、AIに関して22年に成立した特許件数では、中国が全体の61・1%を占めた。米国は20・9%だった。

同大は調査報告書で、最先端のAIモデルの開発費用は「かつてない高水準だ」と指摘した。グーグルの「ジェミニ・ウルトラ」は1億9100万ドル、対話型AIのチャットGPTを開発したオープンAIは、最新のAIモデル「GPT4」の開発に7800万ドルを費やしたとの試算を紹介した。

生成AIで本物そっくりに作った偽動画など「ディープフェイク」に関して「利用者の政治的な見解に影響を与える可能性について懸念を抱かせる」との警鐘も鳴らした。ディープフェイクは簡単に作成できる半面、発見は難しい。選挙への影響を分析し、チャットGPTを例に、AIの回答は政治的に偏っている場合があるとした。

スタンフォード大はIT企業が集積する米西部シリコンバレーの名門大で、多くの著名なAI開発者を輩出している。(共同)