健康被害が相次ぐ小林製薬の紅こうじサプリメントを巡り、被害のあったロットから、原因と疑われている「プベルル酸」の他に、通常製品にはない化合物がさらに1種類含まれていることが7日、共同通信の依頼による岐阜薬科大の独自分析で分かった。今回の抽出・測定条件では、プベルル酸とみられる物質よりも少なくとも数倍多く検出された。

国もこれまでの分析で原料から未想定の物質を複数検出しているが、量などは明らかにしていない。今回の物質が同一のものかは不明だが、数倍の量が確認されたことから、プベルル酸が被害の主因と断定できないと専門家は指摘。原因特定がさらに難航することも予想される。

共同通信は未開封のサプリを入手。既に実施されている分析と同じ「高速液体クロマトグラフ」により、被害ロットと通常製品を分析にかけた。

プベルル酸の研究論文がある北里大のデータを基に比較したところ、プベルル酸とみられる物質を検出。さらに異なる構造をした別の化合物が含まれていることも分かった。いずれも通常のロットにはない成分だった。

検出された化合物は、脂に溶けやすい性質があるという。発生を想定していない物質とみられるが、特定にはさらなる調査が必要だ。

分析をした岐阜薬科大の北市清幸教授(薬物動態学)は「製造過程で異物が混入した可能性もある。被害の原因はプベルル酸とは断定できない。条件を変えることでさらに違う物質が出ることも考えられる」と話した。

日本食品安全協会の長村洋一代表理事はプベルル酸が検出されていて分析の信頼性は高いと評価。その上で「今回の分析で新たに検出した化合物も見落とすレベルの量ではない。製品管理の過程で一度でも測定していればこの化合物の存在に気付けたはずだ」と述べ、小林製薬の管理体制に疑問を示した。

分析について小林製薬は「厚生労働省主導で行われており、回答は控えます」とコメント。厚労省担当者は「詳細が分からないのでコメントできない」としている。(共同)