文科系の皆さんにはなじみのない化学用語「元素」。万物の基となる118個の元素のうち、日本で発見された113番の新元素が「ニホニウム」(Nh)と命名されたことを受け、埼玉県和光市内で「ニホニウム通り」が整備されることが今月、発表された。1番の水素(H)から113番までの路面板が歩道に埋められる。理科系出身の「リケジョ」でモデルの川辺優紀子(25)に、元素の魅力を語ってもらった。

 -元素を勉強したのはいつごろですか

 川辺 高校で理系を選んだので、大学受験までは118個全部覚えていました。元素周期表を見ると懐かしい。縦横の並びには全部意味があるんです。

 -好きな元素はありますか

 川辺 右端の縦の「18族」。上からヘリウム、ネオン、アルゴンと続きますが、全て安定感がある。電子の配置図で空きがない。私もモデルとして、安定した活動をしたいです。

 -和光市にある理化学研究所のチームが、113番元素を発見しました

 川辺 アジア初の命名権を得て、ニホニウムと名付けた。素晴らしいですね。元素周期表が新しくなる理由で、初めて日本が関係した。驚きました。

 -ニホニウムの使い道はあるのですか

 川辺 寿命が0・002秒しかなくて、何の役に立つか、まだ分からない。それでも、新元素を生み出した日本の技術力の高さは、誇りです。ニホニウムの可能性は今後、分かってくると思います。

 -和光市内でニホニウム通りが整備されます

 川辺 完成したら、ぜひ行きたい。元素113個、全部写真に撮ります(笑い)。沿道に「元素カフェ」があったらいいですね。そこで一休みして、元素について語り合いたい。元素グッズもあれば、楽しめると思います。

 -ニホニウム通りに行けば、一般の人も元素に興味を持てそう

 川辺 路面板に2次元バーコードを添えて、スマートフォンで元素の説明を読めるといいですね。世の中にあるものは、すべて元素でできている。沿道の樹木には、生命体の基本元素の炭素(6番、C)がたくさん入っている。そう考えると楽しいですよ。【聞き手・柴田寛人】

 ◆川辺優紀子(かわべ・ゆきこ)本名同じ。1991年(平3)4月25日、群馬県高崎市生まれ。東洋大学理工学部生体医工学科卒業。「群馬美少女コンテスト」グランプリを機に20歳で芸能界入り。モデルや女優として活動中。下着メーカーのトリンプのイメージガールを務めた後、今年11月に「2017年サッポロビールイメージガール」に就任した。同社ホームページ内の「リケジョ優紀子とカンパイを学ぼう!」(www.sapporobeer.jp/imagegirl/rikejo.html)でビールについて解説している。身長168センチ。

 ◆ニホニウム(nihonium)原子番号113番の名称で、元素記号はNh。先月30日に正式決定した。自然界に存在しない超重元素の1つ。アジア圏で初めて発見された元素で、日本にちなむ名前が付けられた。理化学研究所の森田浩介・九州大教授の研究チームが、亜鉛(30番、Zn)を加速させてビスマス(83番、Bi)に衝突させ、両者を足して113番の元素を合成する実験を継続。2004~12年の9年間、約400兆回の衝突で3個できた。昨年末に新元素と認定されたが、現在は人々の生活に直接関係することはない。

<ニホニウム通りアラカルト>

 ◆命名 113番元素の発見を記念して整備するシンボルロード(和光市駅~理化学研究所)の名称を先月の市民投票で決定。425票が集まり、<1>ニホニウム通り165票<2>理研通り111票<3>113ストリート87票<4>理化学の小径(こみち)62票の順だった。

 ◆事業内容 道のりは約1・1キロ。和光市駅前に記念碑、東京外環自動車道の側道に入る交差点にモニュメントを設置する。1番から112番の元素記号の路面板(青銅製、30センチ四方)を約10メートル間隔で埋め込み、最後の113番だけ120センチ四方。ニホニウム通りを示す横断幕やフラッグ、道路標示板も設ける。

 ◆事業費 1800万円。半分の900万円は、埼玉県の助成事業「ふるさと創造資金」で補助される。市は300万円を負担し、残る600万円を来年以降、3年以内に寄付で集める意向。1万円以上寄付すると、モニュメントに名前が刻まれる。来年1月着工予定。

 ◆地元愛 昨年の調査では、今後も和光市に住みたいと思う市民は約35%。地元愛を深めるために、市はニホニウム通りを活用する。「イチョウが美しい散歩コースで、憩いの空間。地元の皆さんも誇りに思ってほしい」と担当者。