東日本大震災の津波で行方不明になっていた福島県大熊町の木村汐凪(ゆうな)ちゃん(当時7)の遺骨の一部が同町で発見されたことが、25日までに分かった。東京電力福島第1原発事故により、当初から満足な捜索ができない中で父紀夫さん(51)が独自に捜索。津波で家族を失った南相馬市の上野敬幸さんら仲間たちに支えられながら、捜索に通い続けた末の再会だった。紀夫さんは今日も大熊町で捜索を続けている。

 紀夫さんの自宅は中間貯蔵施設の建設予定地に含まれている。汐凪ちゃんの遺骨の一部が見つかった場所も、予定地内だ。遺骨を発見したのは環境省の協力企業の作業員だった。この捜索協力は、紀夫さんからの要請を受け、同省が指示したもので、先月9日から始まっていた。

 環境省は中間貯蔵施設建設予定地内の地権者2360人中、517人と契約したとするが、建設予定面積では、契約済みは約1割にとどまる。

 紀夫さんは「実際に捜索にあたる作業員の人たちは、丁寧に涙を流しながら捜してくれている。本当にありがたく思っています」と感謝する。一方で、自宅についての考えには変わりはない。「あそこは汐凪たち3人とつながれる場所。国に売るつもりも貸すつもりもない」。

 ◆大熊町の被害、避難状況 沿岸部は津波に襲われ、原発事故が発生。死者123人(直接死11人、関連死112人)、行方不明1人(汐凪ちゃん)。12年12月には、町民の居住地域の約96%が帰還困難区域に再編された。全町避難が続き、住民登録がある避難者は今月1日現在で1万668人。内訳は福島県内に8080人、県外に2588人。町役場は、約100キロ西の会津若松市で行政運営している。