2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は13日、都内で飲食戦略検討会議の初会合を開いた。12年ロンドン大会では全体で約1500万食以上、選手村でも約200万食が提供された大事業となる。

 会議では「日本食のアピール」という意見が目立った。一方で、16年リオデジャネイロ大会では1日4万6000食の消費があり日本給食サービス協会専務理事の佐伯弘一委員は「日本は台風があっただけで食材が高騰する。日本食を強調するが、たった2カ月のために、どの程度やるのか。人材も現時点で余裕がない」と慎重意見も出た。

 また、パラリンピアンに配慮し、タブレット端末などを使い、部屋から注文できるサービスの導入アイデアも出た。そうすれば食堂で迷わず、並ばず、スムーズに食事が楽しめる。

 過去大会でも問題になってきた食糧の過剰供給が、IT技術活用による事前注文や、嗜好(しこう)傾向の事前把握で防げる可能性もあるとのアイデアも出た。

 記者が取材したリオ大会では、選手村の余った食材を使って、世界的有名シェフが有志で集まり、貧困層に向けて無償レストランを企画し、高級ディナーを振る舞っていた。

 射撃のパラリンピアン田口亜希さんは紙皿の使い捨ては選手としても「罪悪感があった」と振り返り、再使用ができる食器を使うべきと提案した。

 食材の調達基準の一例として農産物はドイツの品質認証機関による基準「GLOBAL GAP(グローバル グッド・アグリカルチャー・プラクティス)」の取得や、都道府県等の公的機関による第三者の確認などが必要となる予定。安全な食材の確保、環境や生態系と調和の取れた農業生産の確保などが理由だ。

 飲食提供基本戦略の策定スケジュールは、検討会議を8月ごろまで月1回のペースで開催し、その後は国際オリンピック委員会、国際パラリンピック委員会に提出する。公開は17年度末に行う予定。