安倍政権は9日、学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐる「総理のご意向」などの文書について、これまで拒否してきた再調査に一転、踏み切る方針を決めた。内閣支持率が急落した世論調査もあり、世論に追い込まれた。東京都議選(23日告示、7月2日投開票)への影響も懸念され、全面否定の正面突破作戦は完全に裏目に出た。結果発表の時期は「速やかに」としか示されず、逃げ切りを警戒する民進党は、文科省に「12日正午」までの回答を通告した。

 安倍政権が「怪文書のようなもの」(菅義偉官房長官)と酷評してきた文書の再調査に追い込まれた。「あらためて調査の必要はない」と言い続けてきた松野博一文科相も会見で「追加調査を行うよう、国民から多くの声が寄せられている。前回調査から広げるのは当然との認識だ」と主張。安倍晋三首相から「徹底調査を速やかに行うよう指示があった」と述べ、首相の指示だと強調した。

 松野氏は先月19日「調査で存在は確認できなかった」と明言。個人のメールは対象外とし、当初から調査に及び腰だった。