流れが大きく変わったのは「あったものをなかったことにはできない」と、実名で告発した前川喜平・前文科事務次官の会見。元事務方トップが「対官邸」へかじを切った影響は大きく、現役職員も匿名で文書の存在を認め始めた。文書共有のために送られたとされるメールも表面化。送受信欄に書かれた職員について、文科省は「同姓同名の職員は実在する」と苦し紛れの説明を露呈した。

 「状況証拠」(野党関係者)が積み重なり、全面否定で逃げ切るはずだった官邸には大誤算。「言い訳ができなくなった」(政府関係者)結果の再調査は、遅きに失した形となった。

 松野氏が理由にした「国民の声」に押し切られた側面もある。一部世論調査では、内閣支持率が約9ポイント急落。政府の説明を7割以上が「納得できない」とした。23日に告示が迫る都議選では、自民党と対決する小池百合子都知事が、演説で情報公開に触れる中、加計問題にも言及。自民党関係者は「都議選に影響しないはずがない」と懸念する。

 ただ、調査結果の公表時期は不透明だ。9日の民進党の会合で、文科省幹部は今国会中の結果発表を明言せず「隠蔽(いんぺい)だ」と集中攻撃を受けたが、「可能な限り速やかに」を繰り返した。午後3時までの回答期限にも応じず、同党はまず、メールの存否について12日正午までに答えるよう、通告した。

 来週は通常国会最終盤。会期延長を含めた与野党の攻防が待ち受ける。突然の再調査発表は「時間切れ逃げ切り」(野党議員)狙いとの見方もあるが、安倍政権が追い詰められているのは確かだ。【中山知子】