東京都の小池百合子知事が23日告示の都議選までに移転判断をするとみられる中、豊洲市場(江東区)で14日、初の都民見学会が行われた。午前中は当選した50人のうち、実際に来場したのは35人。水産卸売り場棟(7街区)、水産仲卸売り場棟(6街区)、青果棟(5街区)の順に約2時間の見学コースを回った。

 特に注目を集めている土壌汚染対策を丁寧に説明した。地下水管理システム、揚水・モニタリング井戸を回りその都度、担当者が解説した。

 他にも問題点が指摘された地点にも立ち寄った。6街区にあるヘアピンカーブでは、ターレーと呼ばれる運搬車が「急カーブ過ぎて曲がれない」と言われるが、担当者は「時速8~15キロで問題なく曲がれます」と断言した。

 5、7街区の屋上に加え、緊急時には両街区の駐車場にもヘリポートができる。災害時は自衛隊などのヘリコプターが豊洲市場から、各被災地へ食料を運ぶ拠点にもなるとアピールした。

 世田谷区の65歳男性は「実際に来てみないと分からないことがある。ここを解体なんて無理。築地の問題点が工夫されている。来場者と市場関係者の動線が分かれていて良いと思った」と移転すべきとの考えを述べた。江東区の65歳男性は「安心できた。衛生面も良かった」と納得していた。

 品川区の50歳女性は「ものすごい豪華な施設で維持費がどれだけかかるのか。中1の息子がいるが、将来に負債を残すのが申し訳なく思った。市場内の荷重限度について聞きたかったけど、肝心の所で説明が無く残念だった。そもそも汚染対策をしなければならない場所は市場はそぐわない。商業施設にしたらどうか」と移転反対意見も見られた。

 見学会の募集は5月30日から5日まで行われ、1503人が応募した。定員は午前午後で100人のため倍率は約15倍だった。