東京都の小池百合子知事が豊洲市場に追加の安全対策をした上で築地から市場機能を移転させる意向を固めたことが17日、分かった。23日に都議選告示が迫る中、週明けにも表明する見通し。築地は売却せず民間に貸し「築地ブランド」を守る活用案を検討する。

 ある都幹部は日刊スポーツの取材に「知事から築地市場(の再整備)を検討しろと言われたことはない」と話すなど、豊洲市場を使う方針は固まっていた。15、16日の「市場のあり方戦略本部」でも築地再整備案は配布資料の最後に添付されただけで、議論すらされなかった。

 一方で築地活用案も検討する。市場問題プロジェクトチームは築地「市場(水産中心)+食のテーマパーク」、豊洲「IT+物流センター」との併用案を示している。小池氏はこの日、築地市場を訪れ、豊洲の無害化ができていない現状を謝罪。「AかBかではなく、築地ブランドをどう守り、物流をどうするのかを考えて基本方針を決めたい。今後も築地市場に伺いたい」と話すなど、築地の活用を明言した。

 自民の「決められない知事」との批判をかわす意味でも、都議選前に方針を示す必要があった。小池氏が代表を務める都民ファースト関係者も、都議選を行う上で「早く決めてほしい」と漏らしていた。

 移転延期で豊洲の安全対策は前進した一方、移転させただけでは「五輪と同様、遅らせただけ」と批判を受ける可能性がある。「小池色」を強調するためにも「築地活用案」は不可欠だった。「市場機能を残さないと80年かけてできた築地ブランドは消える」と訴える水産仲卸など、築地残留派への配慮も必要だった。