将棋の最年少棋士、藤井聡太四段(14)は21日、大阪市内で、歴代1位の連勝記録タイとなる28連勝を達成し、師匠の杉本昌隆七段(48)とそろって会見した。

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 -まずは28連勝でタイ記録に並んだ今の気持ちを

 藤井四段 本当にここまで連勝できるとは思ってもなかったことで、本当に運が良かったなと思います。

 -どんな気持ちで、今日を迎えましたか

 藤井四段 まず、普段通りにと思いました。(相手が前回苦戦した)澤田六段でしたので、気を引き締めて臨みました。

 -デビュー28局、ここまでの思いを

 藤井四段 形勢を悪くしてしまって、はっきり負けという局面もあったので、ここまで連勝できるとは思ってもいませんでした

 -プロデビュー戦で破った現役最高齢、加藤一二三・九段(77)が引退した。あらためて思いを

 藤井四段 デビュー戦で対局させていただきました。すごく迫力のある方でしたので、自分としても一抹の寂しさもあると思います。

 -29連勝へ向けて、意気込みをお願いします

 藤井四段 大きな舞台でもありますので、また、相手も強敵ですので、しっかり体調を整えて対局できるようにしたいです。

 -師匠にうがかいます。今の気持ちは

 杉本七段 ちょっと強過ぎるなと思いました(笑い)。すごい記録を成し遂げてくれたと思います。

 -28連勝、ここまで何かアドバイスは

 杉本七段 彼に技術の指導はまったく必要ないので、遠くから見ているだけで、いつも通りに、と。毎回、同じことを言っていますが。

 -今日はどんな気持ちで

 杉本七段 昼すぎに(会館へ)来ました。記録のかかった一番ということで、今日は師匠というより、1人の棋士としてたいへん興味があったので、じっくり見ようと思って、やって来ました。

 -29連勝、新記録へ向けて、どう言いますか

 杉本七段 今までも、これからも、同じなんですけど、今まで通り、自分の将棋を指していってほしい。

 -プロ28連勝、ここまでどう成長していますか

 杉本七段 ひじょうに安定感が出てきました。もともと器用で、いい時の将棋は手がつけられない感じなんですが、時には悪い将棋もあった。でも、棋士になって、そういうの(悪い日)は、みるみる少なくなって、安定感が出てきたとすごく感じます。

 代表質問が終わり、質疑応答へ移ると、地元の愛知県瀬戸市の応援の声などへの感想を聞かれ、藤井四段は「ありがたいことです」と照れ、質疑応答が続いていった。

 -まだ中学生、長い棋士人生になる。どんな棋士になりたいか

 藤井四段 本当に今回、こういう記録が作れて、幸運だったと思いますが、まだまだ実力が足りないと思われるので、気を引き締めていきたい。

 -目標の棋士は

 藤井四段 谷川先生の高速の寄せ、羽生先生の中盤の独特の指し回し、見習うべき点を感じています。

 -師匠の杉本七段への思いは

 藤井四段 本当にたくさんのこと、教えていただけて感謝しています。

 -師匠との思い出は

 藤井四段 (1分以上考え込み)……。

 長考の末、言葉が出ず、代わって、杉本七段がマイクを持った。

 杉本七段 振り返ると、私も同じく、これといったものが出てこないのですが、ただ、私はあまり師弟の意識はありません。1人の将棋の強い少年といった意識でいます。

 師匠の代打回答を得て、藤井四段は、照れながら、軽く頭を下げ、再び質問を受けた。

 -28連勝でタイ記録、その達成感はどうですか

 藤井四段 ああ、はい、そうですね…記録に並ぶことができて、うれしい気持ちはありますけど、次の対局も近いので、そういった気持ちに浸ってばかりはいられません。気を引き締めたいと思います。

 -自分への注目度、視線をどう感じているか

 藤井四段 注目していただけるのは、本当にありがたいこと。自分のすべきことは、もっと将棋が強くなることなので、一喜一憂せずに日々、頑張っていきたい。

 -今日は、平常心で、と言っていたが、平常心を保つためにしていることは

 藤井四段 そうですね…まあ、自分としては今までと変わらない、今まで通りやってきただけで、具体的に何かというのはないですね。

 -20連勝時に「僥倖(ぎょうこう)」という言葉を使ったり、難しい言葉で気持ちを表してきたが、今日の気持ちは漢字で言うと、何になるか

 藤井四段 そうですね。うーん、そうですね。うーん…。なかなか、それだけの短い言葉で、表現しきれない。ちょっと無理ですね。

 -扇子やクリアファイルなど、グッズも売り切れと人気が高い。どう思うか

 藤井四段 私自身は使っていないんですけど、自分としてもうれしいというか、興味を持ってくださる方がいていただけるのなら…。

 杉本七段 はい、私は扇子はどうしても手に入らなくて、彼のお母さんに1本だけ分けてもらったんですけど、クリアファイルは、はい、自分で。はい、使っています。

 -連勝が続けば、タイトルが見えてくる。あらためて、今、タイトルへの思いは

 藤井四段 はい、タイトル獲得には、さらに実力をつける必要があると思うので、日々、頑張っていきたい。

 -自分では、どうして将棋が強くなれたと思うか

 藤井四段 現状の自分の勝利に満足しているわけではないですし、自分で言うのも難しいんですけども、将棋を始めた頃から、詰め将棋をやってきたのが、いい影響かなとは思います。