★14日のコラム「風見鶏」の「官僚の出張『哀歌』と国力」は日本経済新聞ならではの視点で読ませた。「24年、約40年ぶりに大型の法改正をして国家公務員は気兼ねなく海外に出張できるようになったはずだった。海外の宿泊費は1984年以来の改定のおかげで、課長級なら1泊3万8000円まで認められるようになった。それでも宿泊費上限を下回るものは見当たらない。出張ルールは『公務運営上支障のない範囲で検索した最も安価な施設』を選ぶと定めている。国内出張でも25年の大阪・関西万博。当時、課長級が大阪で認められた宿泊費は1泊1万3000円まで」と厳しい現実を記事は突きつける。
★現実に法改正が追い付かないのは宿泊費だけではない。民間とて臨機応変に対応できる企業ばかりではない。「単なる宿泊代の問題とみていいのだろうか。円安に代表される国力の衰退を直視すべきではないか」と記事は核心を突く。「日米の金利差や潜在成長率の低さを解消しないまま、為替介入といった対症療法で流れを変えるのは難しい。政も官も現状から目を背けているように映る」。続けて「米国・イランの武力衝突は日本の国家運営を転換する好機でもあったはずだ。石油ショックに見舞われた1970年代は違った。危機感を強めた政府は再生可能エネルギーや省エネ技術の開発に乗り出し、省エネは日本のお家芸となり、競争力が国力の基盤になった。
★政治の低下や劣化とは書かないものの、70年代に官僚が知恵を出し、新たな産業創出への転換は、政官民に国の未来がかかっていたからだ。一概に当時をなぞらえろとは言わないが、先進国から低成長ながら成熟国家の仲間入りしつつある我が国が求めるべき目指す方向は、今の政府の右肩上がりを求める“富国強兵”路線ではなかろう。福岡県議会の豪華海外視察。10期目となる県会議長・蔵内勇夫は県議会のドンと呼ばれ、獣医師として日本獣医師会長などを経て、今年4月に世界獣医師会長に日本人で初めて就任した人物。3年間に25回、約3億円の海外視察。ハワイは1泊11万円の部屋。3泊4日で1人300万円の予算という。会見で議長は「わたし海外旅行は続けます。この考えは一切変わることはない」とした。この国はどこで間違えたのか。(K)※敬称略


