将棋の最年少プロ棋士、藤井聡太四段(14)が26日、東京・千駄ケ谷の東京将棋会館で行われた第30期竜王戦決勝トーナメント1回戦で、増田康宏四段(19)を91手で下し、29連勝の歴代最多記録を達成した。21日の王将戦予選で、87年に神谷広志五段(当時)が打ち立てた28連勝に並んだばかり。勢いそのままに、将棋界で「不滅」と言われた大記録を塗り替えた。次回は7月2日、同2回戦で佐々木勇気五段(22)と対局する。

 藤井がようやく、得意の前傾姿勢を見せ始めた。夕食休憩を終えた午後7時ごろ、初めて優勢を意識した。49手目先手7七桂、51手目先手6五桂と跳ねて攻めの拠点を築く。1五の地点に打ち据えた角と包み込む形で寄せ切った。歴代単独となる29連勝の新記録。「自分でも信じられない。幸運でした」。中学生棋士は淡々と喜びを表現した。

 現在の将棋界で2人しかいない10代同士の増田とは、3月放送のインターネットテレビ番組の企画対局で勝っていた。今回は一手ごとにしっかり読まなければ即、敗着となる神経戦。序盤は劣勢に立たされた。自陣の飛車を金でいじめられた。だが反撃のチャンスを待って、慎重に腰を据えて戦った。