任期満了に伴う兵庫県知事選挙の投開票が2日、行われ、現職の井戸敏三氏(71)が5選を果たし、新人でコラムニストの勝谷誠彦氏(56)は敗れた。

 井戸氏の5選を阻止すべく立候補した勝谷氏の陣営はこの日夜、神戸市内の事務所から、同市内のレストランへ場所を移して待機。開票すぐの午後8時5分ごろ、地元局サンテレビ(神戸市)がいち早く、井戸氏の当確を打つと、支援者らからは「ああ~」とため息が漏れ、「もう?」「早い」と無念の声が響いた。

 それから約30分後、ポロシャツに白系チノパン姿の勝谷氏が姿を見せ「あ~、楽しかった!」と第一声。「日本人の生涯賃金の半分ぐらい使って、17日間、楽しませてもらいました」と選挙戦を振り返った。

 今選挙は現職の井戸氏と、知名度を武器にした勝谷氏が激しく争った。井戸氏は自民、民進、公明各党の県組織の支援も受け、組織力を生かした選挙戦を展開し、勝谷氏は懸命に追いすがったが敗北を喫した。

 勝谷氏は、その井戸氏陣営に「保守がいかにクソだが分かりました。今回、大学へ行くよりも、どんな場所よりもいい(人生)勉強になりました。保守! 死ね!」と過激な勝谷節で、批判も展開した。

 「今の組織を壊したくないから、そういうくだらない人生を(今後も)送っていきたいから。街を回っていると、マンションの窓を開けて手を振ってくれる。でも、だまされちゃいけないと思ってた。その人は(個人的に)応援してくれても、もっと深い、深い、暗い、暗いものがある」

 井戸氏の圧倒的な組織力を痛感し「選挙が終わった瞬間、負けたと思った」とも語った。その保守層の結束力には「どこの国でもクーデターが起こったら、殺されるのは体制派。だから壊さないように守る。俺は戦場もいっぱい回ったけど、世界の国と兵庫県は意外に似てるね」と、ジャーナリストとしての見聞もまじえて、選挙戦の厳しさを振り返ってもみた。

 今後、選挙戦への出馬については「ありません」と明言。また、選挙戦初日に「俺が経験していないのは兵庫県知事と芥川賞だけ。知事になった後、芥川賞をとる」と宣言していたが、こうなると、残るは芥川賞のみに。これについて問われると「痛いとこつくね! 芥川賞とれないから選挙に出たんだよ」と質問をかわした。

 また、十八番のデニム姿を封印しての選挙活動に「俺が誰か分かんない人もいた。陣営の戦略の一番の失敗だね」と苦笑。今後については「俺は(選挙という)戦場で戦ってきた。日本に対する見識も深まった。使うやつもいないとは思うけど、その辺のヘラヘラしてるコメンテーターより、100倍タフだよ」と、テレビ復帰もアピールしていた。